Propバーチャル工房「中村弘子さん」のエッセーをご紹介いたします。

中村弘子さんは脳性マヒによる重い言語障害と両手の障害がありますが、熱心にコンピュータを学び、シンポジウム「GATSUNN!!」'99夢はもう現実だ!! では企画スタッフとして「オープニング・ムービー」の「音楽」を担当しました。シンポジウムで発表された彼女のこのエッセーは、参加者に静かな感動を与えました。ぜひお読み下さい。


 ちょうど2年前Macセミナーを見学した際、年賀状制作をされていました。
パソコンといえば表計算やワープロといった認識しかなく、絵に自信のない私は思わず「絵が描けなければWindowsコースを選択したほうがいいですか」とナミねぇに尋ねると、「機種はどちらでも自己実現・自己表現という目的は同じだから」と言われ、兄弟がMacを使用していたこともあり、Macコースを選びました。
 Macセミナーを受講させて頂くようになり、出てくるのはIllustratorやPhotoshopといった美術系ソフトばかり、大変な事になったというのが実感でした。その想いは今も変わりませんが、全く知らなかったこと、新しいことを次から次へと教えて頂き、驚きと感動の連続で夢中になってパソコンに向かっていました。手に障害がある者にとって、直線が簡単に描けるパソコンは魅力的に思えました。

 2年目に入り、突然アート展の作品を制作することになり、まだまだパソコンを使いこなせない状態の私は戸惑いました。先の見えない、手探りの状態でのスタートでした。9ヵ月間でボランティアの先生方のご指導を得て、無事数点の作品を完成させることが出来ました。
 この経験で大きな自信を得ることが出来ました。

 アート展の作品が完成し、一息ついた処に関西電力からのお話を頂きました。時間的余裕がなかった事、テーマが設定されていた事、何より「仕事」である事のプレッシャーがのし掛かってきました。半年前新しいパソコンを購入する際に「仕事をするようになればMOが必要」との助言を先生から頂きましたが、その時は仕事が出来ることが信じられなかったため、MOの購入を見合わせました。

 半年前に考えられなかった事が現実に起きているとは、まるで夢のようです。良いスタッフ、良い仲間に恵まれたことを幸運に思います。そして何より、ご自身の仕事を終えて私達のために駆けつけて下さるボランティアの先生方に感謝致します。
 私達に仕事を下さる方々は、最初は、社会貢献が目的であると思います。きっかけはそのような事でも、仕事を通じて徐々にでも、私達を対等な仕事のパートナーとして考えて頂ける方が増えていくことを願います。私達は多くの事を諦めてきましたが、納税者になることはまだ諦めていません。

 皆様のお力添えをよろしくお願い致します。



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