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この原稿を書いている7月17日は阪神・淡路大震災から半年目に当たり、各地で鎮魂、復興などさまざまなテーマでイベントが行われ、マスコミはこぞってそれを取り上げていました。
しかし、結局報道は東京中心であり、オウム報道の枕詞でしかないその扱いの軽さは私たち被災地域に住むものの心を逆撫でするものでしかなかったと思います。
そんな中、[B06]阪神大震災何でもボードに掲載された私たちの心を被災地に引き戻したメッセージを紹介します。
(略) 今、少し気になっているのは政府の復興関係の委員会の議論の中でパソコン通信だけがクローズアップされているらしいことです。(略)
私自身、いろいろなネットにアクセスしており、また、パソコン通信の可能性を信じている者ですので誤解をしないでいただきたいのですが、復興計画全般に関る情報系という限りは、パソコン通信だけでなく、字幕放送、手話放送、公衆ファックス、電光表示による緊急通報システム、避難所の中での視聴覚などに障害を持つ者への情報伝達、ミニFM放送による視覚障害者への誘導システム(IRISという名前だったかな)あるいは知的障害者へのファシリティーター(編集部注:介助者)の派遣など、他にたくさんの課題があるはずです。(略)
もちろん、私は「パソコン通信なんて復興の役に立たない」といっているわけではありません。一方で、パソコン通信が持っている可能性をさらに、発揮していくための環境がつくられていくことを期待しています。とくに、パソコンを使えるユーザーを増やしていくことを前提にしてですが、気軽にパソコン通信へのアクセスができるような環境・ツールが開発されることを期待しています。
電話やファックスをする感覚でアクセスができればと思っています。イメージでいうと、ワープロ、電話、ファックスが使える人ならば使えるというようなものを期待しています。(略)
ただ、どうも、先程の復興計画に関る議論は、今回の震災でどんな問題が現れたのかという具体的な検証が不十分で、震災の被害の真摯な反省に立って何が求められているのかという課題設定が十分に行われていないように感じます。(略)
koji
(略) 先程、いろいろと書きましたが、その前提になる問題意識は以下の通りです。(略)
5.最初の一週間程は電話もつながりにくく、マスコミ等でも障害を持つ被災者の状況はつかめなかった。そうした中で、作業所やグループホーム、自立生活センター等が救援活動の拠点となり、安否確認をファックスで配信した。
障害者救援本部で直接確認しただけでも、全国200ヶ所以上に転送されている。(現在、45信まで)
この初期の安否確認の段階で、パソコン通信等への掲示も始まり、それで呼びかけたオートバイに乗った青年たちが、私たちの関係の障害者の安否確認にあちこち走り回ってくれた。
初期の段階ではマスコミも概括的な情報ばかりにならざるを得ない中で、「どこどこに住んでいる誰々さんを探して」という情報を伝達する手段として、双方向コミュニケーションであるパソコン通信大きな可能性を有している。
障害者救援活動でも、パソコン通信ネットワークが設置され、現地との連絡、ニュースの編集に活用された。
だが、まだまだパソコン等の情報機器が個々人の手に行き渡らず、またソフトなども電話やファックスする感覚でアクセスできる程にこなれていないことが、初期の安否確認以降の救援活動で、その潜在的可能性に比べて十分活用できないという問題点をもたらしていると思われる。
私たち、障害者救援活動でいうと、FAXでの情報配信が中心であり、それを補う形でパソコン通信が活用されているというのが実情である。
マルチメディア社会と叫ばれる今日、コンピューター関連の専門知識を持ち合わせていない者、障害者や高齢者等でも使えるような情報機器、ソフトの開発が求められていると言えよう。
震災で問われたのは「平時の問題」であるが、まさに、情報機器の開発においても、「阪神淡路大震災」の教訓を活かし、ユニバーサルデザイン(誰もが使いやすい)に基づく機器の開発をお願いしたい。
koji