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労働省では、平成4年2月21日に障害者雇用審議会(会長 白井泰四郎 日本労働研究機構顧問)に対し、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」を諮問し、同日同審議会から労働大臣に対して妥当である旨の答申が行われたところである。 労働省においては、これを受けて、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」を作成し本日、同法律案の国会提出について閣議に付議したところ、閣議決定がなされた。 なお、法律案の概要は、下記のとおりである。
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記 |
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1 事業主の努力義務 事業主は、障害者である労働者の雇用の安定を図ることについても努力義務を有する旨を明らかにすること。 2 障害者雇用対策基本方針の策定 (1) 労働大臣は、障害者の雇用の促進及びその職業の安定に関する施策の基本となるべき方針(以下「障害者雇用対策基本方針」という。)を策定するものとすること。 (2) 障害者雇用対策基本方針に定める事項は、次のとおりとすること。 @ 障害者の就業の動向に関する事項 A 職業リハビリテーションの措置の総合的かつ効果的な実施を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項 B 障害者である労働者の障害の種類及び程度に応じて、雇用管理の適正な実施を図るために必要な指針となるべき事項 C @からBまでに掲げるもののほか、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項 (3) 労働大臣は、障害者雇用対策基本方針を定め、又は変更するに当たっては、あらかじめ、障害者雇用審議会の意見を聴くほか、都道府県知事の意見を求めるものとすること。 (4) 労働大臣は、障害者雇用対策基本方針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、その概要を公表しなければならないものとすること。 3 身体障害者雇用納付金制度における助成金の支給業務の拡充 助成金支給の業務に、身体障害者の雇用の継続を図ることを目的とする助成金支給の業務を加えるものとすること。 4 重度身体障害者である短時間労働者についての雇用義務等に係る規定の適用に関する特例 (1) 重度身体障害者である短時間労働者を雇用している場合における雇用義務等に係る規定の適用に当たっては、その雇用する身体障害者以外の労働者に替えて当該短時間労働者一人をもって労働省令で定める数に相当する数の身体障害者である労働者を雇用しているものとみなすものとすること。 (2) 助成金支給の業務の対象に、重度身体障害者である短時間労働者を加えるものとすること。 5 重度精神薄弱者についての雇用義務等に係る規定の適用に関する特例 (1) 重度精神薄弱者である労働者を雇用している場合における雇用義務等に係る規定の適用に当たっては、当該重度精神薄弱者である労働者は重度身体障害者である労働者と同様の扱いとすること (2) 4は、重度精神薄弱者である短時間労働者について準用するものとすること。 6 精神障害回復者に関する助成金支給業務の新設 助成金支給の業務の対象に、身体障害者及び精神薄弱者以外の障害者であって適応訓練の対象となる種類の障害者を加えるものとすること。 7 日本障害者雇用促進協会の業務の拡充 日本障害者雇用促進協会の業務に、障害者の雇用に関する国際協力業務を加えるものとすること。 8 障害者雇用推進者の選任 身体障害者雇用状況報告義務が生じる数以上の労働者を雇用する事業主は、労働省令で定めるところにより、次に掲げる業務を担当する者を選任するように務めなければならないものとすること。 (1) 障害者の雇用の促進及びその雇用の継続を図るため、施設又は設備の設置又は整備その他の諸条件の整備を図るための業務 (2) 障害者である労働者の解雇の届出及び障害者の雇用の状況の報告を行う業務 (3) 身体障害者の雇入れに関する計画の作成を命ぜられた場合又は当該計画の適正な実施に関する等の勧告を受けた場合にあたっては、当該命令若しくは勧告に係る国との連絡に関する業務又は計画の作成及び計画の円滑な実施を図るための業務 9 障害者である短時間労働者の待遇に関する措置 事業主は、その雇用する障害者である短時間労働者が、当該事業主の雇用する労働者の所定労働時間労働する等の希望を有する旨の申出をしたときは、当該短時間労働者の有する能力に応じた適切な待遇を行うよう務めなければならないものとすること。 10 その他 罰金額の引上げその他所要の整備を行うものとすること。 11 施行期日等 (1) この法律は、平成4年7月1日から施行するものとすること。ただし、4(1)、5(助成金支給業務に係る部分を除く。)並びに10及び(2)の一部については、平成5年4月1日から施行するものとすること。
(2) この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるものとすること。 |
改正された「障害者の雇用の促進等に関する法律」に思う 創刊号の発行直前に、労働省から前掲の「障害者の雇用の促進等に関する法律」の一部改正の要綱と条文が届きました。 私達の改正前の最大の関心事は、重度身体障害者にとって在宅勤務が雇用として認められるかどうかと言う事でした。在宅勤務は、外出が困難な障害者にとって有効な就労形態であることはいうまでもありません。しかし、改正された「障害者の雇用の促進等に関する法律」でも在宅勤務は相変わらず雇用とは認められていません。 前述のアンケートの集計結果から明らかなように、障害が重度化すればするほど在宅勤務のニーズが高い事がわかります。重度肢体障害者は公共交通機関が未整備であること等の理由で移動の自由が確保されていないため、通勤が非常に困難な状況です。そんな中、正式な雇用形態にはならなくても在宅勤務あるいはそれに類似した形態で仕事をしている重度障害者がいます。既にコンピュータ関連業務においては、データのやりとりがフロッピーディスクや電話回線を通じて行われており、在宅勤務形態が可能になる素地が整っています。 私たちは、これからも在宅雇用も含めた障害者の雇用促進を訴え続けたいと思います。 |
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