リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 吉田 幾俊さんの場合

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「夢を紡ぐプロップ本」

吉田さんイラスト

「プロップ・ステーションの挑戦」 竹中ナミ
「チャレンジド」が社会を変える
P256 筑摩書房 定価1810円+税  ISBN4-480-86315-x

 表紙のブックデザインは、グリーンが目立ち、一見「杜仲茶缶」のようですが、まさしく、心が元気になると各雑誌の書評で評判の喉ごしスッキリ、キレがあるのにコクがある清涼本です。書籍名の通り、プロップ・ステーションの代表者である「ナミねぇ」さんが、日々、発している言霊を忠実に採録したような読みやすい言文一致体で書きとめられたものであり、障害者の就労をすすめようとする組織「プロップ・ステー ション」その活動と構想 とは?という福祉の枠組みで、よくある説明を越えて「多くの人との出逢いで 夢が現実化してゆく感動のドキュメント」となっており、また、ジャンルで言えば、[心理・社会学] [政治・経済][教育] [女性学]さらに[帝王学]等々に関心のある方であれば是非読んで欲しいほど、永年にわたる多くの実体験から学び、反骨の豊かな感性とともに考察した独自のスルドイ意見は、どれも新鮮で興味深く納得してしまうことでしょう。目からウロコ、ふところへ勇気。「チャレンジドな発想」が社会を変える。そんなバナナと思われそうですが、読んで、おそらくスベル事は無く、きっと、明日への何かの滋養となるはずです。そして、こうも思います。後年、「ナミねぇ学」の研究者にとってバイブルとなる基本資料の第一冊だと。そう、その時代になれば、「カリスマ」「トリック・スター」「シャーマン」「アウラ」といった人々を魅了する才能を持った人物を称して「ナミラクル」と呼ばれていると。まぁ、よいしょの冗談は、さておき、近頃、話題にのぼる「プロップ」っていうところって何やろう。代表つうのが、大阪弁で、身体ごと、まくしたてるド派手な御婦人らしいけど、一体どーゆー人なんやぁ?という、ただの三面記事的好奇心からで も十分に読破可能な、どこから開いても、肩の凝らない「ざっくばらん」な面白いエピソードが満載です。読めば「障害者を納税者に」という過激と思えるスローガンも、多くの道のりから生まれた発想であり、目立つための、あるいは行政受けを狙った安直なキャッチコピーでは決してないことが理解できます。
 てなわけで、著者にファンレターを送るつもりで・・・という、正しい読書感想文のセオリーに沿って書いてみました。けれども、小生も第一章の中の「精神が肉体の檻からはみだそうとしている」P26で登場させていただいており、我田引水、ひいきの引き倒しは、お許し願いたいと思う。もちろん、久保さんをはじめ、バーチャル工房の仲間の活躍、プロップに関わった多くのチャレンジドの多方面にわたる頑張りぶりも詳しく述べられております。ちなみに「チャレンジドの夢」についても触れられています。ただ少し記憶違いで本文(初版第一刷)では97年から連載が始まったことになっていますが、これは98年2月からで・・・。嫌みな注釈でしたが、インターネットならではの当事者からの報告として笑って許してもらいましょう。
 最後に、この本は熱い想いを縦糸に、出逢いを横糸に夢を紡いでいるプロップの序章なのです。次の章は、これを読もうとしている貴方から始まるかも知れません。
(おわり)


カット「踊るナミねぇ」・・・・・使用アプリ Photoshop. GifBuilder
これはアニメーションGIFです。


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