リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 久保 利恵さんの場合

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「インターネットの奇跡」

久保さんイラスト 私は、ウェルドニッヒ・ホフマン病と言って、10万人に1人の割合で発病する珍しい病気です。だから、今まで同じ病気の人と出逢った事がありませんでした。・・・が、インターネットの素晴らしさが本当に分かった出来事がありました。それは、仁美ちゃんとの出逢いです。初めは、彼女の存在を知らずに色々な人とメール交換をしていたのですが、その中の1人に紹介されて・・・それが衝撃の出逢いになったんです。
 ある日、お気に入りの伝言板で仲良くなった友達から一通のメールが入りました。「利恵さん!こんばんわ。」で始まった、その友達のメールには、この伝言板に遊びに来ている人の中で是非紹介したい人がいるという事が書かれていました。その人は、私と同じ車椅子生活をしていて、私と話がしてみたいと言ってくれている・・・という話でした。その是非紹介したい人!というのが、仁美ちゃんだったのです。
 その日から、仁美ちゃんとのメール交換が始まりました。私達は、同じ車椅子生活者で歳も1つ違い、しかも趣味も同じ、と言う事で直ぐに意気投合、1回目のメール交換が終わった頃には、もう電話で話をするようになっていました。そして、電話で話しをしているうちに、大変な事が分かったんです。私たち同じ病気だったんです!最初、仁美ちゃんに「病名聞いても良い?」って聞いた時、「たぶん言っても知らないと思うよ。」って言われました。でも、「私も珍しい病気だから、言ってみて!」って私が言った時、仁美ちゃんの口から飛び出た言葉が「ウェルドニッヒ・ホフマン病。」だったんです。思わず興奮して「一緒!一緒!」と叫んでしまいました。やっと出逢いました。物凄く嬉しかったです。涙が出る程嬉しくて感激でした。皆に電話をかけまくって、知らせたぐらいなんです。
 それから、1年以上たった今もメール交換は続いています。びっくりする程、悩みが同じだったり、ラッキーな事に趣味も一緒だから、話は全然尽きません。同じ病気だから、日常生活で困っている事も、大笑い出来る程よく似ているし、同じ病気ならではの悩みについて、お互い相談し合ったりできるし、本当に良かったなぁ〜って思っています。私がハワイ旅行に行く時に、以前行った事のある仁美ちゃんから、飛行機での過ごし方や、車椅子でも乗れる路線バスが走っていてショッピングの時にそれを利用した事など、その他の色々な事を教えてもらいました。普通のガイドブックや旅行会社では、けして得られない情報です。
 星の数程のホームページの中で巡り会った私達の出逢いは、奇跡です。インターネットの奇跡と言っても過言ではないと思います。
 世界中のどこかで今日も、奇跡が起きているかも。


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