リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 久保 利恵さんの場合

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「楽しい時間」(イラストはこちらをクリック

 私は、絵を描くことが好きです。頭のなかに、パァーッと絵が浮かんでくると描きたくて描きたくてたまらなくなります。きれいな花を見たりすると、その花をスケッチしたくなります。絵を描く時は、必ずお気に入りの音楽を聞きます。「さっ、絵を描くゾ!」と思ったら、まずコンポに電源を入れ、次にCDを選ぶ。いつも、聞いているのは、私の大好きな諸星和己くんと松田聖子さん、それに光GENJI(今はもう解散してしまっているけど)の曲。「今日は、このCD!」って決めたらその1枚のアルバムをエンドレスにずーっとかけ続けます。すると、なぜか調子がでるのです。
 部屋がシーンと静まりかえっていると、普段聞こえないような時計の針の音や家の外の騒音など、些細な音が耳に入り、邪魔になって気が散るんです。小学生の頃は、大体、松田聖子さんのレコードをいつもかけてもらっていました。すると、とっても幸せな気分で、いつまでも楽しく絵を描いていられたんです。時を忘れるほど楽しいっていう事は、たぶんこういう事なんでしょうね。当時は、歌詞の意味なんてハッキリと分からないのに、ちょっと前まで嫌な事があった時でさえも、一緒になってリズムを刻んでラララ〜♪なんて歌っているだけで魔法にかかったように気持がハッピーへと切り替わったりするんですから。今になって考えると、音楽ってきっと不思議な力をもっているんですよね。
 そして、中学生になると、光GENJIがデビューをして光GENJIワールドが大好きになって、いつもCDをかけながら歌いながら、絵を描いていました。今は、諸星和己くんの音楽の世界が大好きで一番よく聞きます。BGMのように何となく聞いていたり、ふと手を休めた時じっとその世界に聞き入っていたり、いろんな楽しみ方をしています。なんだか落ち込んだり悩んだりした時でも、パッと気持が晴れやかに変わるし、歌詩から忘れていた事にハッと気付かされたりして、自分を取り戻すきっかけになることもあります。同じ曲なのに、聞く時の自分の気持やシチュエーションが違うだけで、感じ方だ違うから、何度聞いてもあきないのかな。音楽って本当に不思議ですよね。
 自分が楽しく描けた絵は、その時の楽しい雰囲気が見る人にもきっと伝わると思います。絵は、上手とか下手とかじゃなくって、これって何となく良いなぁ〜とか嫌だなぁ〜とかハートで感じるモノじゃないですか。だから、嫌な事があったり、悩みごとかあったりすると、その時の気持も伝わってしまうんですよね。だから、絵を描いている時、いつも楽しい気持でいたいと思っています。私にとって大好きな音楽は、絵を描く時の必需品。でも、「楽しい気分でいよう!」なんて頑張らなくても、理屈抜きで音楽を聞きながら絵を描くのが好きだから、もうそれだけで、いつもニコニコ描いているんですけどね。何より自分が楽しいって事が大切なんじゃないかなぁ。

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