リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 貝本 充広さんの場合

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貝本さんカット「”マシ”な人生」

 夢というものは寝ている間に魂が幽体離脱して経験するものだとか、至福の島から来るとか昔から哲学者などによって様々な解釈がなされていたようです。無論、それは一般的に夜見る方の夢のことである。
 しかし英語でもそうであるように「夢」・「DREAM」というのは夜見るそれと同じく将来的な願望や嘱望するものとしても用いられます。この二つは似ているようであるが実はそうではないように思われます。(悪夢というのもありますし)
 僕は先日こんな夢を見ました。その日はとても暖かく心地よい日差しの休日でした。周りにいた人物は覚えてはいないが、彼女と僕は楽しそうで淡いパステル調の空気が流れている感じでした。
 夢の中では僕は一度たりとも車椅子に乗っていることはなく元気に遊ぶ姿を第三者の目で見ていました。
 夜見る夢には起きている間に無意識下であれ強く望むことや考えることが現れると言います。もちろん見た夢は前述の両者に当てはまる夢だといえると思います。そう考えると二つの夢の意味は重なってきます。が、僕はこう解釈します。夜見る夢は夢的夢、将来の夢は現実的夢であると。
 しかしどちらの夢もまたすぐには手の届かないトコにあるのが普通で、前者の夢は所詮は夢と思えるが後者の場合はそうはいかないこともあります。後者の夢を追い続けるときには挫けそうになることや、諦めたくなるときも往々にしてあります。そうしたときには前向きに、プラス思考、ポジティブシンキングだとかよく言います。僕は普段ぼぉっとしているせいなのかこういった物の世話にはあまりなりません。でも時にはブルーなモードに入るときだってあります。そういうときにみなさんはどうしているのでしょうか?僕の場合はふと周りを見渡すことにしています。そして目に入った物にひとまず気を留めます。するとそこには「マシな人生」が見えてくるのです。
 例えばそこいらにいる野郎を見たとして、僕はカッコイイのでたとえ車椅子に乗っていようがあんなヤツには負けてない・・・マシだと(苦笑)。
 また買い手市場の就職活動などを見ていると、こうして志を同じくする仲間が集い夢に向かえることやその勉強の場を与えてもらっていることも、ものすごくマシな人生だと思います。
 部屋に虫が飛んできて”バシッ!”・・・こいつと比べるとはるかにマシなわけだし。
 更に僕が僕自身のことを考えるときに、例えば落ち込んでいる友達がいれば僕のことを思い出して「俺は元気なワケだし・・・」と立ち直ってくれるなら僕自身一人でブルーになっているより、それは全然マシな人生であるといえるハズです。(これは実際に言いました)  僕に言わせればこの様に見回せばありとあらゆるところに「マシ」は散らばっていて、それを時折一つ二つ拾い集め積み重ねていけば必ず夢に近づいていくことが出来ると思います。しんどいときや辛いときは坂を上っている時で、逆に順調に思えるときは坂が平坦な時か下っている時になぞらえて考えればいいのです。しんどいなら、それは夢に近づいてる証拠なワケだし、特に急ぎ足になる必要もないと思います。
 しかし気分的にも楽になれたならこの考え方はすぐに止めてもらいたいです。というのも、これは自分より劣る物を心で捏造しているに過ぎない、自分自身に対するいいわけにしか過ぎず長く続けるとよくない結果になりそうです。「前向きな考え方」と言うのはその場で前を向いているだけ、決してお薦めできないと言うのが僕の見解です。立ち直る力を得たならその場にとどまって平気な顔をしているのが強さだと思いこまずに夢に向かって前進し、向かい風を受け止め、なりふり構わずしかめっ面出来て疲れたときには胸を張って堂々と疲れたと言える自信や強さを持っていきたいと思います。

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