リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 吉田 幾俊さんの場合

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吉田さんカット「幾、ナミねぇと講演しに行くの巻」

 講演とは・・・御縁の賜物でありまして、ありがたいものでございます。
 二ヶ月も前から、予定は判っていながら、失礼千万、な〜んも、準備もせず当日が迫り、ナミねぇサンに、どんな話をしましょうかと打ち合わせしたのが数日前でした。よく聞くと今回、一席ご機嫌をうかがう、ご依頼主さんは女性グループだとか・・。ちょっと派手目の服装でも、えぇでぇと言われてるし、パソコン・インターネットの評論家となりつつあるナミねぇ先生が呼ばれるくらいだから、きっと、ホームページぐらい、揚げてはっても不思議ではないわなと、講演前夜遅く思いつき、NHK-TV「Mr ビーン」の笑い声を聞きながら、インターネットを立ち上げ、グループ名だけを頼りに某サーチエンジンで調べてみれば図星で、女性学の項目にURL発見。早速、薄ピンク色のHPをば、ざっと観れば、色々な問題意識をもって勉強会を開き活発に活動されていると判明。これは、おじさん、ちょっと緊張しますなぁ、と思いつつHP管理者で代表者である方にEメールを入れておくことに。
 「はじめまして、ナミねぇの生き証人、その一の吉田 幾俊です、宜しく。」
と書いて送信。
 明けて朝から雨模様。お願いしてあった車椅子ガイドヘルパーさんと共にJRと地下鉄を乗り継ぎ、会場へ。渡されていた「愛と情熱、勇気と希望」のメッセージが一杯に詰まったB4の講演原稿のずっしりとした束に最後の目を通し・・・。いよいよ、講演の始まり。〜〜〜すみません、嘘を入れました。ナミねぇ師匠は行き当たりばったりの、壇上より空気を読んで演題を変えていく超絶の話芸でして、全てアドリブで、原稿なしの怒濤のしゃべくりで、掟破りの一本勝負なんですねぇ。何が掟か判りませんが・・・。(騒音基準か・・。失言撤回、冗談ですって。)しかし、誠実、気弱なボクはメモの紙をぎゅっと握り、すこし上がり気味の出だしでした。もう、今となっては、何を答え、どんなボケをかまし、どう、つっこまれて、どう切り返したか。どこで、笑いを呼び、どこで、ギャグがすべり、怒られたか。どのネタが受けて美味しかったか、思わず真顔で普通に言ってしまい、ネタとしては、もう、ひとひねりで、おしかったこと・・・。もう、すっかり忘れてしまいました。しかし、慈愛と機転にあふれた年期のナミねぇ名人の絶妙フォローのおかげで、二時間の漫才でいえば相方としての大役を何とか努め終えることが出来ました。
 こう書いてしまうと、内容のない、訳の判らん講演と思われて依頼がなくなっても、あれですので、簡単に、二人で、しゃべった要点だけ覚えてるところを述べさせてもらいます。まず、自己紹介、続いてプロップの発足のいきさつと活動紹介、ボクのプロップとの不思議な繋がりそうで、遠かった縁(えにし)。マウス、その愛?自己表現、自己実現の道具としてパソコン。チャレンジドが働くということ。高齢化なんて怖くない、だって、福祉の枠で言えばボクは寝たきり老人だもん。プロップの仲間は瞳の輝きが違うのです。男性は女性のフリークス?ジェンダーよりも個体差なんだ。大人のインターネット問題。今までのボクらの大仕事(このチェレンジドの夢の連載のことも)。色々な話題に救いようのない親父ギャグのトッピングサービスもさせて頂きました。
 しかし、最後の質問コーナーで、いきなり、若い美人の方に「結婚なんて、考えられてるんですかぁ?」と見つめるように熱い眼差しで聞かれて、(一方的な大きな誤解)ドッキリ致しました。また別の方に、なぜ、そんなにボクが若く見えるかという疑問にも、運動生理学的見地から運動量が少ないので身体が痛まないという活性酸素と老化の怪しい説明で、はぐらかし、ホッとしました。実は、極楽トンボだから若いなんて言いにくいでしょう。ということで、「今日は、これくらいにしといたらぁ〜!」で、最後にナミねぇ御大にも身体ごと、ずっこけてもらい、「お捻り」代わりの笑いと暖かい声援の拍手の中、出口という楽屋に引きこもって行くのでありました。チャン、チャン。
 そうそう、後日、幾さんは芸人ですねぇと代表の方よりEメール頂きましたけど、これって誉め言葉ですよね?(おしまい)

*カットは「色々ぼけてまんがなぁ〜」という挿し絵です。

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