リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 杉本 睦子さんの場合

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杉本さんカット「Challenged Art展について」(つづき)

  雪解けが完成すると、この雪を何かにいかしたいと思い描いたのが銀世界です。雪解け,銀世界と描き、雪解けに思いのほか時間がかかったので、また1から違う絵を描いていたのでは、間に合わないとあせっていました。それでこの妖精を使って春夏秋冬の風景を描いてみようかなと先生に相談したところ「それは、おもしろいから是非やってみてください」といわれ、春,夏,秋,冬の連作となりました。春も春らしく、秋も秋らしくするにはどうしたらよいか、パッとみただけでわかってもらえるようにするのは、大変なことだなと改めて思い知らされ、サブキャラクターの重要性も認識しました。でも、私の場合は春,夏,秋,冬と順番にならべてセッティングしてもらったので、まだわかりやすかったと思います。アート展作品制作の後半から体調を崩し、何日もベッドで横になっている日が続きました。“あともう少しでアート展なのに、作品制作の追い込みをしなければいけないのに”とあせりましたが、体調のよい時間や日をみつけて作品提出ぎりぎりまで作業し、納得のいくものにするまであきらめませんでした。この作品展の作品を通して、あきらめなくてよかったあきらめなかったからこそ私にもできたという自信とともにやり終えたという満足感が今でも鮮明に残っています。私の家の居間にこの春,夏,秋,冬の絵が飾ってあるのですが、それを見ていても、ここをこうすればよかったというところは1つもありません。こんな感覚ははじめてのことです。
 パソコン操作もまだなれていない、絵も本格的に描いたことがない私にとっては何もかもが初めてのことでした。でも、今思えば私はすごく運がよかったと思います。セミナーの初級から中級へ、中級からアート展開催、そして工房の発足、発足と同時に関電,NTTと大きなお仕事をいただき、この2年あまりの間にいろんなたくさんの生きていると実感すべき充実した日々を過ごすことができました。なかでも一番印象に残っているのは、約10ヵ月を費やして作品を完成させ、作品展として発表できる機会があたえられたChallenged Art展でした。私のようなものはあのような機会があたえられなければ、作品展なんて開くこともなかっただろうし、みなさんに観てもらえるという喜びもあじわえなかったと思うのです。Art展が開催され、工房が発足し、今現実に仕事をしている自分は夢のようです。私が仕事をするなんて半年前までは考えられなかったことなのです。これもきっと、一生懸命仕事を探してきてくださっているプロップの方々、ボランティアで私達にパソコンを教えて下さった講師の先生方、そして私の仲間であるバーチャル工房、その他いろんな人に支えられて、今の私があるのだと思います。今考えると、私にもたくさんのいろんな妖精が味方をしてくれたのかもしれません。これからもこの妖精たちとできるだけ頑張っていこうと思います。(おわり)

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