リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 ナミねぇの、オープニングメッセージ
 竹中 ナミ(プロップ・ステーション代表)大阪府

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 皆さん、こんにちは!プロップ・ステーションの「ナミねぇ(竹中ナミ)」です。
プロップ・ステーションというのは「コンピュータネットワークを活用して、チャレンジド(Challenged:障害を持つ人を表す新しい米語です)の自立と社会参画、特に就労の促進をめざす市民組織」です。
 「プロップ」というのは「支え合い」を意味する言葉。チャレンジドが支えられるばかりの存在じゃなく、社会を支える一員として活躍できる状況を生みだして行こう!というポジティブな想いを「プロップ」というネーミングに込めています。
 「チャレンジド納税者にできる日本」これがプロップのキャッチフレーズです。コンピュータネットワークを活用すると、在宅ででも勉強や就労ができるので、特に外出の困難な重度のチャレンジドにとって大きなチャンスの時代が訪れたわけですが、そういう時代背景を基に、プロップでは、たくさんのチャレンジドがコンピュータ・プログラミングやグラフィックスを学び、「腕を磨いて<プロ>になろう!」と意欲的な活動を展開しています。
 今日から始まるこの連載は、そういうチャレンジドたちが自分の想いを率直に語るリレーエッセーですが、リレー開始の前にプロップの主宰者である「ナミねぇから一言・・・」というわけで、キーボードをたたいています。プロップの活動拠点は関西なのでナミねぇも「コテコテの関西弁」やけど、どうかよろしゅうに、お願いします。
竹中さんの写真
 ナミねぇがプロップの活動を始めたのは、長女麻紀(現在25才)が重症心身障害児やったことが最大のきっかけです。麻紀は肢体だけやなく、視覚や皮膚感覚や精神や知能など、心身のすべてに障害を持っていて全くの「赤ちゃんタイプ」なので、家族や社会が彼女を護ってやらないと、一日たりとも生きて行けません。でも、麻紀の療育や介護を通じて出会ったたくさんのチャレンジドたちは、殆どの人が意欲や、意志や様々な才能を持っているにもかかわらず、それを発揮するチャンスが少ないために麻紀と同じように、保護や同情の対象としてみられている、というのが日本の国の福祉の姿やと知りました。つまり、たくさんの人の「力」が埋もれてるわけです。「日本の国って、なんてもったいないことしてるんやろ!」というのが、ナミねぇの率直な感想です。
実は、麻紀は5年前から国立の療養所でお世話になっているんやけど、彼女のために税金が毎月50万円以上使われています。
 今、日本に訪れつつある「超高齢社会」っていうのは、麻紀のような状態の人が増える社会と同義語やのに、今の福祉政策のままでは誇りを持てずに生きて行く人がどんどん増えていってしまうだけやなく、経済のバランスもきっと崩れてしまう。
団塊の世代のナミねぇ自身にとっても、自分が倒れても介護してくれる人手もお金もないような世の中になるかもしれへん・・・と考えたときに、自分に出来る活動は、自分の課題を解決することや、と思いました。
 「チャレンジドを納税者にできる日本」というプロップのキャッチフレーズは、こうして生まれたんです。
(つづく)

 

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