在宅スキルアップセミナー
「データベース Access 講座」の現状


この講座の開設経緯と第1期受講生の感想文は、フランカーNo.16に掲載済みですので、その後の状況と、これからの展望についてご紹介します。

1.第2期講座の実施

97年4月から、11名の新しいメンバーを対象に、6ヶ月のAccess97講座を始めました。
第1期との違いは、Access95 が Access97 に変わったこと、受講者数が6名から11名に増加したことに加え、第1期修了の3名の方が、ボランティアとして参加し、受講生からの質問への回答などにあたって下さったことです。

このことは、この講座の今後の進め方を考える上で、大切な事柄だと思います。
つまり、セミナーで実力をつけたチャレンジドの方々が、ご自分のスキルを活かして、後に続くチャレンジドの皆さんを育成していくことになったからです。

10月に講座を終了しましたが、9名の受講修了生の方々の感想文を収録してありますので、そこからこの講座の雰囲気などを読み取っていただければ幸いです。

 

2.これからの進め方

1)基礎講座

これまでの6ヶ月講座では、Accessの基礎からプログラミングまでをカバーしてきましたが、システム開発の実技演習をより多く実施するために、Accessの基礎部分は本講座から切り離して、インターネットのホームページ上で実施することにしました。

2)プログラミング講座

Access97の基礎をマスターした方を対象に、6ヶ月のプログラミング・システム
開発講座を実施します。この講座にも、第1回と第2回修了の方々がボランティアとして参加します。

3)Access研究会

講座を修了した方々の、以後のスキルアップと情報交換の場として、メーリングリスト上で、この研究会を進めていくことにしました。
年間にいくつかのテーマを設定し、講師・受講生という関係ではない、相互啓発の勉強会として運営します。

最初のテーマは「Access97による Webサイトデータベース」です。
Access97をインターネットやイントラネット経由で利用することで、システム開発の適用範囲、つまり講座で修得した技術を活かす場面・就労の機会が大幅に拡大することを期待しているのです。
将来的には、この研究会が、講座修了生の皆さんによって自主運営されることを期待しています。

 

3.講座修了生の就労状況など

 

<第2期修了生の感想文>

1)鷺 俊一:37歳(山形県南陽市在住)、頚椎損傷

半年前、MS-Access についての知識はほとんど持ち得ない私が、曲がりなりにもプログラミング技術を体得できたことは、この講座のお陰に他なりません。
通信教育なるものは世に氾濫しているわけですが、私もこれまで受講の経験はありますが、途中で都合でやめてしまったり、終了したとしても単に受講したというだけで、講師や受講生どうしの意志の疎通があまりないため、親しみというものをあまり感じることが出来ませんでした。

ところが、この講座ときたら、インターネットメールを利用していることもあり、講師のJIJI先生の添削や指導、受講生どうしのレスや質問、時には雑談がメーリングリストを通し、半日単位でやりとりがなされ、あまりにも活発に運営されていることに戸惑いもありましたが、知らず知らずのうちに引き込まれ馴染みだし、今では、メールチェックして一つもなかったりすると淋しい思いです。

結局、この講座の運営方法として、タイムラグが少ないことが最大のメリットで、何といっても受講生にとっては講座そのものを理解するのはもちろんのこと、お互いを知り連帯感も生まれ、「最後までやりぬくぞ!」といった意識が自然と生まれていたように思われます。

講座の進行具合は回を追う毎に、ハードになっていったことは言うまでもありませんが、私にはプログラム編へ移行当時が一番理解に苦しんだ頃でもあります。それからは、すこし理解し始めてから楽しくなり、比較的スムーズにこなせたのではないかと思います。

とにかく、この講座ではメーリングリストを大いに利用し、質問や自分の考えていることを遠慮せずポストし、お互いの相互理解をはかっていくことが、最終的にはプログラミング技術はもとより、今後仕事をしていく上で、大切なことであることも教えて頂きました。

2)増田 久:35歳(千葉県我孫子市在住)、頚椎損傷

今まで「プログラミング」というものにはほとんど縁もなければ興味もなかった私でしたが、この講座で初めて「リレーショナル・データベース」というものに触れ、その便利さ、面白さ、そして難しさを実感しました。

そして、実際の仕事では、プログラミング以外にもいろいろと重要な事がたくさんあるのだという事も教えていただきました。

途中、厳しいお叱りを受けて戸惑ったり、不注意なミスを連発して自分が情けなくなったり、なかなか課題がこなせずかなりしんどい時もありました。しかし、それもみなこの講座の目的である「就労」への一つのステップなのだと思います。

メールだけのやり取りですが、私がこの講座を受講していて特に感じた事は「人にはみな個性があり、個人差がある」という事です。
他の受講生を見ていて焦ってしまったり、しんどい事もあると思いますが、決して無理をせず着実に講習を進めていく事が大切だと思います。そしてこの講習が終盤に近づくにつれ、あらためてこの講座の素晴らしさが実感できると思います。

3)小田木一真:32歳(静岡県浜松市在住)、頸髄損傷

  受傷後、ならいはじめたパソコンで、家に戻って3年ほどしてからデータ入力の仕事をしていました。単純な仕事だったので、しばらく経つともっと仕事の幅を広げていきたいと考えるようになりました。データベースの仕事をしている方を中心に数名で勉強会をしましたが、その人の目指すものに及ばない自分の力不足を思い知らされました。

 こんなわけで、系統的な学習をしてみたいと考えていた私に、そのころ参加したメーリングリストでこの講座のことを知り、受講することにしました。受講前はこの講座を障害者を対象とした単なる通信教育と考えていたのですが、この講座の目指すものが、<コース終了後、プロップの開発メンバーに加わることのできるメンバーを育成することが目的です。単にプログラミング技術を学ぶのではなく、「通信を通じた意思疎通」「会社で仕事をするとはどういうことか」を学習します。>であって、このことは実際講座を通じて幾度となく教えていただきました。

  インターネット、SOHO等、社会は大きく変化しています。この変化を好機とし、この講座で学んだことを活かして、社会の一員となって活躍できるようになりたいと思います。

4)跡見 仁志:38歳(静岡県湖西市在住)、頸髄損傷

 講座を受ける前、コンピュータは持っていましたが、ただ闇雲に触っていただけという状態で何か身を付けなければと日頃思っていました。でも勉強するにもなかなか習うところもなく、一人で何かしようとしても何処から始めていいのか分からずにいたところに、この講座のことを知りこれはチャンスとばかりに早速申し込みました。

  第2フェーズからプログラミングの学習となり、今までプログラミングなどというものはやったことがないため戸惑いつつ、JIJI先生はじめボランティアの方々や
受講生の皆さんに助けられて、何とか講座終了段階まで来ました。

  講座は終了ですがこれで終わりではなく、これから始まるのだということを肝に銘じて、この講座で学習したことを実際に仕事に結びつくように在宅就労という最終目標に向かって、これからも応用勉強していきたいと思っています。

 これから講座を受ける皆さん、講師のJIJI先生は優しく丁寧に、厳しく指導して下さいます。1歩1歩前進するのみです。がんばって下さい。

 今後もプロップの活躍とサポートに期待しております。またプロップステーションのメンバーとして少しでも協力できればとも思っています。
  今後ともよろしくお願いします。

5)苅谷 久爾:38歳(岐阜県羽島郡在住)、頚椎損傷

やっと講座を終えることができ、今はやり遂げた充実感でいっぱいです。
講座ではいろいろな失礼にもかかわらず、JIJIさんを始め受講生の方々に支えられながら、最後まで続けることができました。

講座そのものは、実務に則した実践的な内容でした。特に「第26週.DOC」は市販のマニュアルにはない内容ですね。他の受講生の方々に巡り合えたことも、大きな収穫となりました。みなさんの意欲や前向きな姿勢が、自分自身の大きなエネルギーになったような気がします。

そしてお願いができるとすれば、システムの設計に関する講座も設けていただければと思っています。Accessを使うということを前提にして、通信講座の終了後に、継続して受講もできる、としてはいかがでしょうか。

最後になりましたが、JIJIさんをはじめ、Prop Station スタッフのみなさん、第一期のボランティア参加の方々、受講生の方々、本当にありがとうございました。これからも末永くお付き合いくださいますようお願いいたします。
そして第三期の受講生のみなさん、講座を終えたころには、きっと大きな自信が心の中に芽生えてくることと思います。

6)小畑 正宏:23歳(大阪府大阪市在住)、脳性マヒ

最初の第1フェーズ・第2フェーズは、クリアしましたが、第3フェーズになると、 180度回転にしたように学習が高度で難しくなり、毎日が悪戦苦闘の連続で、途中でさじを投げたいような気持ちでした。
又、テキストの文面をただ追いかけているだけで精一杯の所もあり、よく文面の意味を勘違いしたり、何を要求されているか、全く分からずに失敗を繰り返した所もありましたけど、課題のプログラムが分かれば楽しくて仕方がなかったです。

初めてデータベースのプログラムに挑戦してみて、私の想像以上に奥の深いものだと痛感しました。また質問することが少なすぎたと反省しています。
まだ苦手な所はありますが、プロップAccess97通信講座で学習した事が仕事に生かされ、在宅就労が実現すればと考えています。

素晴らしい仲間と出会えた事、また最後までデータベースと仕事とはこういうものだと熱心に教えて下さった橋口先生に感謝しています。
本当にありがとうございました。

7)田中 一明:24歳(山口県防府市在住)、脳性小児麻痺

 セミナーは、MS-Access 97を使用し、基本から応用(VBAや実際のシステム開発の模擬(成績処理・受注管理など)など)までという、幅広い内容の学習でした。課題が来るのが楽しみでした。中でも「競馬ゲーム」で皆さんの作品は個性たっぷりで、とても感激しました。

橋口さん、毎回講評ありがとうございました。おかげさまで、ここまで来ることが出来ました。実際の仕事では他人のためのシステム作りであり、自分のためのシステム作りではありません。だから、注文主の指定された仕様どおり期限までに開発を進めることが何よりも大切であるということを学びました。もしも、僕が仕事をさせて
もらえる時にはそういうことを常に頭において、期待に添えられるように頑張りたいと思います。受講以来6ヶ月以上経ちましたが、MS-Access 97でのシステム開発はなかなか奥が深いものだと、つくづく感じています。

  では、最後になりましたが、橋口さんをはじめ、ボランティア参加でお手伝いしてくださった皆さん、受講生の皆さん、プロップ事務局スタッフの皆さんには大変お世話になり、感謝しています。本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。また、第3期(以降)の受講生の皆さんは、「講座は他人のためのシステム作りの学習である」ということを思いつつ、受講されたらよい結果が出ると思います。

8)松尾邦昭:45歳(福岡県大牟田市在住)、胎児性リウマチ

 この一年は私たち家族にとって大きな転機だった。興味を持ちながらも、「好き」の範囲でしかなかったコンピューター。これを「仲間」の支えに裏付けられた「自信」 という大きな財産にしてくれたのがプロップだ。

  これまで通信教育にも何度か挑戦してはみたが、独学には限界がある。質問しても回答が帰ってくるまでに時間がかかる。次第に熱も冷めていった。ところが本講座では、即時的かつ双方向の討論が「メール」を通じて行える。さらに週1回の課題提出は、私を怠けさせてくれない。この2つが、とにかく「ついていく」だけの私をここまで支えてくれた原動力だ。

  印象に残る言葉が2つある。ナミねぇ口ぐせの「身銭を切って勉強せなアカン」と、 JIJIさんの「SEは経験豊かな社会人でなければならない」だ。
このことを単なるお題目としてでなく、身をもって教えてくれた。「信頼関係を作らなければ一人の社会人として責任を持って関わることができない」と、わざわざ足
を運んで下さったところに、プロップの「本気」を感じる。この基本線は今後も守ってほしいし、私も今後、その一員として守り育てていきたい。

  「おもしろそうなパソコン教室」程度にしか思っていなかった私には、初めのうちとまどいもあった。第3期生のみなさんの中にも、同じように感じられる人もいるだろう。あるいは即就労に結びつけたくなる人もいるかもしれない。しかし本講座は「プログラミング教室」ではない。上の基本線をしっかりと受け止めれば、それだけで大きな成果だと思う。それが大きな飛躍をもたらす「自信」につながる。「実力」と「仲間の支え」という中身をともなった自信となり、その自信が社会人としての着実な一歩となる。

9)石川 清重:45歳(熊本県熊本市在住)、頚椎損傷 C4

 これまで色々なプログラム言語を見てきましたが、この度初めてSEを目指し本格的にプログラムを学びました。
自分にSEとしての力を身につける実力があるかどうかの期待と不安を持っての4月からのスタートでした。
時間が取れる限り車椅子に移り、パソコンの前に座りました。毎日の目的が出来ることで日々の張りが出て体調にも良かったようです。

インターネットを利用しての通信講座も、MLという手法を取り入れることで一つの教室で受講しているように感じることが出来ました。少しの時間のずれはありますが、リアルタイムに質疑のやり取りが出来る感じです。
プログラムを独学でマスターするには限界があり、本講座を受講できたことは良かったと思っています。
只、今後スキルアップをしていく必要がありますが、いかにして経験をつむかが大きなハードルになると思われます。
以上SEを目指す受講生として述べましたが次に重度障害者として「プロップ事務局への意見・要望」です。
私たち個人が技術の向上を図るのは当然ですが、その後如何に企業にアプローチしていけばいいのかが見えません。
職安に頼れるほど甘くはありませんし、これまでどの様にアプローチをし、実際に企業は何を要求するために上手くいかないのかなどの経験を聞きたいと思います。

最後に「第3期生の皆さんへ」
重度障害者は勉強したいと思ってもなかなか教室に通うと言うわけには参りません。
さりとてプログラムのように複雑な学習となりますと、独学だけでは日本の英語教育みたいになりかねません。通信講座は実務演習も網羅されており、終了時にはプログラムというものが多少なりとも理解できると思います。

<ボランティア参加者の感想>

伊藤 和彦:40歳(新潟県岩船郡在住)、頸椎損傷

 第2期の講座では、第1期修了生3名が、第2期生受講の手助けになれればと、ボランティアとして参加させていただきました。
 講座では、期間を分担するかたちで受講生の質問に回答をするという作業を、e-Mailでおこないました。
私たち1期生が使っていたAccess95からAccess97に変わり、多少の戸惑いがありましたが、基本的には変わらなかったので第1期受講の経験と知識を使うことができましたし、Access97の変更点の確認もできました。
そして一番の経験は、質問への回答の難しさでした。
回答といっても、受講生への回答は、質問に対し「コレコレすればいいのですよ」では、いけないということを知りました。
受講生自身に回答を見いだしてもらう、気付いてもらう、ということが大事なのだと。
でもこのことは、大変難しいことです。私にそのことができたか?というと、できていなかったと思います。少しでも近付いていればいいのですが・・・・
またこのような機会があれば、この経験を少しでも役立てることができればいいと思います。

第3期からは、基礎講座を終えた受講生が本講座を受講され、より深くAccess97を使い、より実践的な講座が実施されるのではとの期待がふくらみます。

そして講座修了生、もちろん私もですが、この講座で身に付けたこと活かして仕事をし、社会の一員として支えられる側から支える側へ踏み出していきたいと思います。

(以上)


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