しかし初めあれば終わりあり、のたとえのとおり 娘は大きくなり、お人形遊びを卒業しました。 娘が中学生になったころには、 「かいしゃ」は部屋のすみに転がったままで放置されていました。
そんなある年の暮れ、私は大掃除のゴミ袋の中に薄汚れた「かいしゃ」を発見しました。 「トイ・ストーリー」に出てきた「その時」が娘と「かいしゃ」にもやってきたのです。 私は唖然としました。 あんなに仲良しだったのに! 「かいしゃ」は泣いていました。
娘の一番愛らしかった頃の服を着た「かいしゃ」を捨てるのが忍びなく 私は可哀相な「かいしゃ」を押入の引き出しに仕舞いました。 「かいしゃ」は泣いていました。 押入の中で泣き続けました。 何年も何年も・・・。 私は押入を開ける度に「かいしゃ」の悲しさを思い、胸が締め付けられました。