どうして私が強くなれないのか・・ その謎が解けたある暑い夏の日でした。 「ねえ、ねえ、Yさん、私は 新入りのYちゃんにだったら勝てるでしょ?」 と私は久々の新入りを指さして アメリカで留学中に黒人相手に ボクシングの修行をしたという、 Yさんに聞いた。 「いや、勝てないでしょう。無理っす。 SさんはYちゃんにだって負けますよ。」 こともなげにYさんは答えた。 「えー!なんでー!」 |
![]() Yさん |
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・ それからしばらくたって、 ・ |
これが私にとっての 「逗子の海岸開眼事件」である。 うーん・・私はそれからしばらく 「殺すぞ!」について考えた。 確かに私には「殺すぞ!」の気持ちはない・・ っていうかあ、こんな平和ボケの日本において 「殺すぞ!」はありえない。 「殺すぞ!」って思って生きている人は 「殺すぞ!」の相手に 「殺される」についてもやむなしと 思う人のことである。 逆に言えば殺されてもいい、と命をはる人のみ、 「殺すぞ!」なんである。 つまり、サムライである。 それって、超かっこよくない? (ここんとこ、コギャルっぽく尻上がりの発音で) |
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私は日頃「バカのすすめ」を実践して 生きている人間であり、 「面白い」「楽しい」「気持ちいい」を最優先にして やるべき事を選択している。 そんな人間なのに、 この「殺すぞ!」の思想が妙にはまったのである。 なぜならそれは 「面白い」「楽しい」「気持ちいい」の 上級進化形だからである。 そして日頃の自分の ボクシングスタイルについて考えてみた。 平成のこの世にふさわしく、 相手が本気でかかってくることなど"想定外"のことなので、 防御なんかそっちのけで、 自分がいかに気持ちよく打てるかばかりに 重点を置いている。 日頃よく、お手合わせしていただいている 日本チャンピオンのKコが本気だったとしたら、 防衛戦の相手の顎を砕いた破壊力を持つ 彼女のパンチに「殺される」かもしれない。 だから「殺すぞ!」なんである。 |
「殺される」から「殺すぞ!」 ここのところが私にかけていたー! そーだったんだあー! 目からうろこー!ポローン! ・・・で、それからの私のジムにおいての 練習態度が180度変わったのは いうまでもない。 「なんか、いつものSではないみたい。 超気合いはいってるっていうかあー」 とジム仲間が口々に言う。 でも、そんな私にレギュラーの松本くんが 相方の西川くんにささやいた言葉が 聞こえたような気がした。 「か・ら・ま・わ・り、この言葉の意味をな、 よーく考えてみよう、西川くん、な?」 という松本くんの声が・・。 |
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