作者の近況(6/20)★★

平凡な至福の週末物語パート3


これが今世紀最高にまずいラーメンだ!

【またも騙されてしまった私】

ああ、かつて、「わたくし、
消防署のほう、からやってまいりました。」の巧妙な物言いに
乗せられ
市価の3倍の消火器を買った。

釣り糸付きの紙人形を「たねも、
しかけもないよ。」といって
あやしげな外人から買わされた。

そんな過去を持つ私だが、もう、
それは過去のこと。
若気のいたり。

遅く起きた日曜の朝、
ふと、目にした情報誌に
目がさめる。

テレビチャンピオン某氏推薦の店!
今世紀最高のコックは私だ!
料理は科学だ!自身の料理理論を語らせたら、3時間半!
さながら実験室のごとき店内の置かれた数十種の粉と液体のなぞ!」

「インチキ臭い!」と疑う夫の反対を「これは、ロマンだ、冒険だ!」と説き伏せ、

高速に乗り、地図を便りに
たどり着いたはぼろぼろの古屋。


その前に待つ人影もなく・・・。
勿論、店内とて客はなし。

おそる、おそる入る店内。
火元も消えて・・。
一抹の不安を拭い捨て
【なんとなれば、
店内に王貞治の色紙あり。】


いっぱい千五百円の
ラーメンを注文す。

落ち着いて見渡す店内、薄汚し。
ゴミの山にエロ雑誌。
店内は油と手垢でどす黒く。
NASA特性の水だけど、黄ばんだコップにそそげば、水垢の味。

ああ、よぼよぼの今世紀最高のコックの手際の悪さよ!

えんえんと待たされたあげくに
出たは、手垢によごれた丼。
さめたスープにまずい麺。

れんげまでもがずず黒い。

勇気をふるって一口すすれば・・
「ま、まずい!テレビチャンピオンの文章はこう続く。
「科学の実験室さながらに、何種類もの液体と、粉類のはいったビンが並ぶ・・」

チャンピオンさん教えてあげよう、丼のへりについていた、緑の粉はただの抹茶、
そして底に沈むは、煮干しの粉だよ!

「なにが、今世紀最高のコック、だよ!」
あまりのショックに怒る私にここをよく読め、と情報誌を指指す夫。
ああ、そこにかかれていたのは「幻妙な味」と・・・!
おいしい、とは一言も書かれていない!
「で、でも、王貞治のサ・サインが!」
「あほ!そんなもん、
どこでも手にはいる。
ほんまに店に来たんやったら
・・さん江って日付いりで
書いとる!」
ちゃん、ちゃん!
冷静な夫に完敗の週末でした・・はい。

【追伸】
三つ葉はラーメンに絶対合わない!