リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 くぼ りえさん

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「超アナログ人間」その2
 
くぼさんカット 「超アナログ人間」の私の祖母の話を前回お話ししましたが、あの話には、実は、まだ続きがあります。
 コンピューターグラフィックを「いんちきの絵」と認識している程、「デジタルの世界」にうとい祖母ですから、もちろんインターネットなんて全然知らない訳です。
でも、私は、毎日パソコンに向かってインターネットを使って何やらしている…。そんな、ある日、「インターネットとは、どういうものか?」っという話題になりました。
 私は、パソコンと電話回線を使ってホームページと言うものが見られる事、電話やファックスと同じようにe-mailで文字や画像や音楽が相手のパソコンに送れる事などを簡単に説明して、それから、実際にそれを見せながら、説明を続けました。検索エンジンに自分が知りたい情報のキーワードを書き込み、ボタンを押すと、お目当てのホームページが出てくる事など、色々と試していく中で、何となく便利で面白いということは、分かってくれた様でした。そこまで分かってくれたら、こちらも説明のしがいがあります。
 さらに、占いをしたり、祖母の住んでいる街のホームページ、24時間リアルタイムで中継されている街の様子などを見て、一緒に遊んだりしていました。
 インターネットが、随分、分かってきた祖母が、ぽつりと一言いいました。「じゃ、次は、ばあちゃんの家の中を見せて!」。私は、絶句しました。24時間リアルタイムで街の様子が中継されているホームページを見た直後だったから、無理もないのですが、あれは、あらかじめコンピューターに接続された備え付けのデジタルビデオカメラが現地に設置されているから、なせる技であって、素人が同じ事をするには、とても大変な事です。私なんかでは、到底出来る事ではありません。ましてや、祖母の家には、カメラも設置してないし、パソコンすら1台もないんです。でも、そんな事、祖母にとっては、どこ吹く風。どうして見られないのか、どうすれば見られるのか、全く分からないのですから、「今、泥棒が入ってないかどうか見たい。」と言う訳です。気持は分かるけれど、今の私には見せてあげる事が出来ませんでした。
 その次の祖母からの注文は「病院にあるの私のカルテが、今、見たい。」「今現在の娘の働く姿が見たい。」でした。これも、ちょっと無理な話。どうやら、祖母にとっては、パソコンは「魔法の箱」の様な感覚。でも、これは私にも同じ事が言えます。これらの注文は、今の一般家庭では無理でも、近い将来きっと出来るようになると思います。つい5年ぐらい前は、私だってインターネットなんて言葉全然知りませんでしたし、ネットでショッピングなんて、当時は、考えもしなかった事が当たり前の世の中になっている。パソコンは、まさに、「こんなの出来たら良いな〜。」という信じられない事を現実のものにする「魔法の箱」みたいなものですね〜。
 
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