リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 くぼ りえさん

バー

「超アナログ人間」
 
くぼさんカット 年に2度、名古屋に住んでいる祖父母が、大阪の私の家まで遊びに来ます。そんなある日、祖母とパソコンやインターネットの話題になりました。祖母は、パソコンやインターネットっという言葉を、かろうじで耳にした事はあるものの、それが一体何なのか、どういう使い道があるのか、全く知らない「超アナログ人間」です。
 我が家のリビングに飾ってある、私が描いた「バラ」のコンピューターグラフィックを見つけ、「これ、利恵ちゃんが描いたの?」と聞くので、「うん!」っと言うと、「上手に描けてるなー。」と言ってくれました。そこまでは、良かった。その後、私が、「パソコンで描いたんだよ。」っと一言付け足すと、思わぬ返事が返ってきました。「なーんだ、いんちきかー。」。祖母の言う「いんちき」というのは、パソコンが勝手に自動的に描いたものであって、私が描いたものではない、という意味らしいのです。
 もちろん、そんな訳がないので、これは、いけない!っと思い、誤解を解くべく私は、説明をしました。パソコンが勝手に描いたものではなくて、まず、お花屋さんにバラを買いに行って、それを私がスケッチブックにデッサンをし、その絵を見ながら、パソコンを使って1から10まで私が描いたと、言ってみました。でも、祖母は、ポカーンっとした表情で、全く理解できていないっと言った感じ。パソコンは、道具であって、なんでも自動的にこなしてくれる機械ではないし、絵筆を持って描くのと同じように、パソコンの画面の中にある筆や色をマウスで1つずつ選んで自分で少しずつ描くのだと、手を変え品を変え説明してみましたが、返ってきた言葉が、「そのパソコンで、なんで絵が描けるのかが分からんのだわー。」でした。もう、こうなったら、実演して見せるしかないと思ったので、私の部屋に連れて行き、私がパソコンで絵を描くところを実際に祖母に見てもらう事にしました。実演している間、祖母は、「へー。」とか「そうかー。」とか「ほー。」っと私の説明に相づちを打ってくれていました。私は、これでやっと「いんちき」の絵ではないという事を分かってもらえる、良かったー、っと思いました。それでも、返ってきた言葉が、「ふーん。でも、どう考えても、なんでパソコンで絵が描けるのか分からんのだわー。」の一言でした。がっかりでした。「こっちの方が、一体どの部分を理解してて、何が分からないのか、分からんわー。」っと言いたい気分でした。
 「超アナログ人間」に「デジタルの世界」を説明するのは、本当に難しい・・・。祖母に分かりやすく説明できる方、求ム!
 
バー


戻る