リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 吉田 幾俊さんの場合

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「うれしたのしのi-モードCG」
 
石田さんカット 先日、来客の携帯を借り、緑のバックライトに燦然とコントラストよろしく浮かび上がる自分のi-モードCGを確認することが出来た。URL打ち込みが電池切れとの戦いの中でスリルもあって、なんだか本当に感無量であった。
 振り返れば、梅雨入り間近、神戸でのオーサリングソフトの特講があった頃、i-モードのCGの仕事の話があるみたいだよとか聞かされ、ついに来たかと、とっても嬉しくなり心では小踊りしながらも、ちと照れ臭いので、これはまた小さい画面だけに別の大変さがありそうですね、また宜しく。と気乗りなさそうに答えてしまっていた。
 やっぱり上手く出来る自信がなかったというのも正直あった。CG納品仕様の詳細は、まだであったが、たぶん色数も制約があり、大好きなグラデーション使い、派手な色使い、細かな描写は難しくなると予想されたからだ。まったくi-モードCGを知らないわけではなく、今年になって、たまにi-モードからE-メールも届くようになり、画像リンクのURLが話の種的に添えてあったりしてプラウザー上でモノクロ画像は観ていた。その感想は、切手みたいに小さい!だった。こんなスペースで何を描けるの?とも思った。
 けれど、マスコミでi-モードという言葉を聞かれない日はないほどの話題と普及のトレンディなニューメディアなんだから、そこの場所で自分の作品が観てもらえるというのは、大げさに言えば、新発見の星に自分の名前がつく位、うれしたのしはずかし、やっぱし嬉しいもの。パソコンのインターネットの層より、もっと一般的な多様な人たちが多様な場面で色んな気分の時に観られるわけで、それを想像するだけで、ワクワクしちゃうのである。
 で、i-モード仕様をドコモのHPで調べて、習作を講師の先生に観てもらおうと作り始めたものの、大きいカラー画像を我流でモノクロにして縮小したものだから、小汚いものになってしまい、自主的にボツに。後で教えてもらうのだが、やはり、それなりのテクがあるのだった。それでも機械的に間引いて小さくしているので、ドットごとに細かく補間・修正しなければならなかった。まるで、ワープロ時代に外字登録機能で文字を作らず、升目を埋めて絵を描きオリジナルスタンプを作り嬉しがっていた、暇人ドット絵師だった頃がよみがえり、どんな経験も、どんなところで役立つか判らないものだと苦笑した。
 正式に渡された納品詳細は、横72ピクセル・縦94ピクセルのGIF形式でモノクロ・モノクロアニメショーン・カラーの3パターンあり、ファイルサイズは、すべて2KB以内。そして、モノクロというのは白黒2色使い、アニメーションも5コマ以内というもので、仕様は、しょうがないくらい色々な制約のあるものであった。そして、その画像は各携帯の待機画面に使ってもらえるような内容で、ということだった。
 どうしよう?一瞬、頭を抱えたけれど「制約こそ創造の翼である。」という名言もある通り?これを上手くクリアすれば、面白いものが出来るかもと思い直し、パズルを解くように、一番難儀に見えたアニメーションから作っていくことにした。予想通り、ちょっと複雑な絵で色々動かそうとすると、たちまちファイルサイズは倍以上になってしまった。起承転結のあるアニメという構想は、はかなく崩れたが、なんとか試行錯誤しながら、最初のイメージを残すよう、削ぎ落としていく、ドット疲れる地味な作業が続いた。けれど、ツボが判るとアイデアも沸いてきて、どんどん出来上がって、静止画で済む絵でも、どこか動かしたくなりアニメーションばかりとなっていた。
 結局、モノクロアニメーション8点、カラー4点、初回分を兎に角、納品出来、ホッとした。ただ、カラーは、ちょっと、ぐちゃぐちゃして見辛いみたいなので、切り絵みたいなシンプルなものが、今後の課題だろうか。アニメーションは動かす工夫が楽しく、もっと沢山作りたい。ただ、初期機種のi-モードだと静止画しか観れないので、そっちも描いていければと想う。てなわけで、機会あれば是非、待機画面に使ったって頂戴!お願いしまぁ〜す。
 
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