リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 貝本 充広さんの場合

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「MOVIE・こぼし話(前編)」
 
貝本さんカット 先のことは分からないが、今までムービーに関しては僕が担当となっていた。今回もそうなった。と、言っても今回は僕から志願した。その理由は色々あるが妙な責任感と、他のパートに自信がなかった、“短め”と聞いていたからなど様々である。もう一言言うとしたら挙手によって話を進めた方が制作にグッとエンジンがかかると思ったからである。しかし甘かった、ムービーは基本的に3本で当初僕の担当はオープニングとエンディングだったのだが、本編も担当することになった。その段階でヤバイと思ったので他の受け持ちのパートを1つ別の人にフッてもらうようお願いした、コレが後でシンドイ事になった。
 昨年12月、スケジュール一ヶ月押しでムービーの制作が始まった。今考えるとお笑いだが、その時点でムービーはほとんど仕上がっている予定だった。段取り通り行くと12月で最終チェックを終え1月頭にCDのプレス工場に出し、2/14に発売と言うことだった。前半皆さんが頑張っていた頃遊んでいたので制作に着手した時点でガンガンに燃えることにした。今回のCD-ROMは初めて一般にお披露目し、手にとってもらえるモノだったのでもちろん手抜きなどするつもりは毛頭なかった。コンセプトを決め、ストーリーを作り煮詰めて、コンテを描き、それに沿ったキャラクターを作りいざ制作に取りかかったがココで大きな誤算、コンテをセミプロの漫画家のミキさんという方にお願いすることになった。何が誤算かというと、ここだけの話せっかくだから発表しちゃいますが、さすがは漫画家さん、構図や表現法などタメになったのは事実だがその分描くのが難しいのだ。一枚だけならいいのだがアニメーションさせていく手間と残り時間を考えると、とてもじゃないがその通りにはやり切れないのだ。実はその時点でムービーの尺はとんでもなく長くなっていた。僕の手元にあるCD-ROMに入りきらなかった全ての出来上がりの長さは、なんと24分にも及ぶのだ、それは中にCMを挟まないTVアニメと同じ長さ。だが当然見栄えも出来もミキさんのコンテ通りやったほうが断然いいのだ、でもアプリケーション上の処理や都合を考えると割愛せざるを得ない部分が多かった。しかしそんな愚痴も、文句の1つも言わなければやってられなかった僕にはいい発奮材料だった。
 12月の末の時点で間に合わないのは目に見えていた。後はとにかく年度内発売を目指して頑張るしかなかった。しかもその時仕切役の先生が一度目のダウンを喫した。僕は今回風邪を引くこともなかったのだが、それは仕方のないことだと思えた。なんせ僕でさえ7時には起きて夜は12時頃までという生活が2ヶ月続いたのだから。しかも家でやっている僕には通勤時間もないし、ご飯を食べる2〜30分以外は全て作業に充てられる時間となった。多分当時15時間くらいはやっていたと思う。さらに年末年始のスペシャル番組があるので、テレビっ子の僕としては見逃せないので一日中テレビ、モニター、テレビ、モニターの目に悪い日々が続いた。それにクリスマスと年越しのオールナイトはしっかり と過ごした。(つづく)
 
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