リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 吉田 幾俊さんの場合

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吉田さんカット「GATSUNNN!!」と終えて・・・?

 いやはや、「GATSUNNN!!」(ガツン!)'99 夢はもう現実だ!〜プロップ・ステーション社会福祉法人化シンポジウム&パーティー〜も、終わってしまえば、まさに夢のような嵐の2日間であった。ともかく、連日ハードな作業であったけど、工房のみんな全員が休むことなく「新生・バーチャル工房 御披露目会」をば、無事に打てて、本当に良かった。そして、多く方々の応援、声援を私たちが受けていることを改めて実感し、「ガツン!!」とアピールするつもりが、はからずも、暖かい「喝!」を入れていただいたような、身に余る、身の引き締まる晴れ舞台となっていた。あらためまして、皆さんに御礼を申し上げたい・・・・「ありがとう!いい薬です?」
 さて、2日間にわたるシンポジウムもまた各界有識者の「顔見せ興行」的、豪華絢爛なセッティグで、示唆にあふれた刺激的内容になった。簡単に流れを言えば、チャレンジドが誇りを持って働くためには、テクノロジーの活用が考えられ、私たちもパソコンを使い実践しているわけだが、それだけでは駄目であり、在宅雇用に対する制度上の見直しなど新しい社会システムの創造が重要であり、急務となってきている。また、コンピュータとチャレンジドの繋がりも近年、インターネットなどが普及してきたことで、より深まつつある。加えて、予想されているデジタル・ネットワーク関連技術の進展は加速度的であり、実現すれば、パソコンも形を変え、チャレンジドに限らず万人にとっても、今ある「スイッチ、ポン、パッ!」と映るテレビのように扱いやすい道具となり、より生活必需品となっていくだろうし、身体の衰えを気にせず生涯現役で活躍できるようになるだろう。その頃には、私たちのようなチャレンジド・アーティストが、地球規模で活躍しているはずだ。つまり、そんな社会になれば、きっと、高齢社会は、怖くない!はずだ。というような運びであった。
 「ものぐさ太郎」と「みちくさ花子」が思わぬ発明を産み出すように、「不可能を可能にする方法は、不可能をたくさん背負っているチャレンジドこそが一番良く知っている」と理解してもらえただろう。もちろん、科学テクノロジーにも良い面ばかりではなく、今回、冒頭に行われたジャーナリスト櫻井よしこさんの基調講演「チャレンジドが社会を変える」の中でも、問題提起された「個性の育て方の意味を取り違えた戦後教育から生まれてしまった、野放しの自由ではない、明確な自己責任に基づく多様な生き方の尊重」が、多くの発言者からも、言葉をかえながらも述べられていたようだった。おそらく、それは世界規模で暮らしや文化に、影響を与えて大きく変貌するだろう近未来デジタル情報化社会への警鐘でもあり、キーワードとなっていくと思えた。
 てなわけで、シンポジウムではナミねぇ様とのナビゲーター役の私でしたが、座談会のテーマが渋く、最初は緊張して「掴みギャグ」もドギマギものだったけれど、慣れてくると堅い話のカンゲキを突いてボケさえ、かませるようになり、ホッとした次第。しかし、ひとつコーナーを終えて舞台を滑りおりる(車椅子用のスロープ)と「今度も笑わせてやぁ〜。」とか「構えないでナチュラルトークでいかな、笑いは取れんでぇ。」とか、果ては「母親が観てると緊張するみたいやねぇ。」の冷やかしと、外野が好き勝手。美人の司会者さんまでもが、「プロップの吉田幾俊氏」という紹介が2回目から42歳のオヤジをつかまえて「幾くん」になっていた。自称、笑いもとれるマルチメディアクリエーターの私にとっては、望むところだが、なんだか道化となっていくようで、うれし、はずかしの複雑な心境になった。
 そのあと、夜のパーティでは、全国で頑張っているプロップのチャレンジドメンバーとも会え、アドレスつき名刺の交換が出来たり、翌日の、栄えある「第一回マクロメディアCG杯」(勝手に命名?)に輝いたチャレンジドクリエーターが開催地の神戸に住んでいることが判ったことも嬉しかった。
 そして、今回なによりは「カモメ三人衆」?のオープニングムービーが、何とかグループワークで間に合い、巨大スクリーンで綺麗に映されて、私も第三者のように感動出来た。おまけに、マクロメディアの手嶋社長さんから、胸に「クッ〜」と来るものがあったなんて言われてしまうと、制作者、貝本氏らの苦労も報われるというもの。ふりかえれば、講師の先生の言われる親しみやすいキャラクターが、なかなか、うまく描けず、結局、コンペで選ばれた案で、やっと決まリ、そこからホームページやムービ制作、ミニゲームの企画と動き出したのだが、既にあと一ヶ月と迫っていたのだ。このような押せ押せで制作したものだったが、仮想でないバーチャル工房の今の実力を観てもらえたことは意義深かった。また、ミニCG作品展、パソコン上での、工房の個人紹介や駄洒クイズも彩を添え、全手動プリクラ「プロップ・クラブ」も盛況ぶりであり、「俳句会同人」のデジタル俳画も展示したりと、今後、発表していくうえでも、色々と勉強になり、感想も頂き励みとなった。まったく、良い意味で、夢はもう現実だ!・・・寝た子もガツン!と起こしたらぁ〜と気合いの入ったイベントになっていたら幸いである。それにしても、握手した櫻井よしこさんの指先は白魚のような、スタイルと同じ位、きゃしゃな美しさでありましてなぁ・・・・。(オヤジ口調で報告終り)

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