リレーエッセイ 「チャレンジドの夢」

 貝本 充広さんの場合

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貝本さんの写真  自己紹介

 チャレンジドの夢・・と言うことですが、一口に夢と言ってもなかなか難しい物で当面のことを率直に言うと「お金儲け」ですか。問題はその方法で、それを「夢」で叶えようと言うのですからそこには一般社会では味わえない醍醐味とある種の幸せがあるのかも知れません。偉そうなことを言っている僕はと言えばチャレンジド歴3年ほどの新米です。僕自身は怪我で現在の状態に至ったわけですが、精神状態は余り変化していません。元々環境適応能力に長けていると自負しているわけですが、僕自身今の状態に前向きも後ろ向きもないのでポジティブシンキングと言うのとは少し違うかも知れません。
 そんな僕の夢は昔から絵を描くことでした。今も趣味で書いているページもあります。絵を描いていると時間が経つのを忘れてしまうこともしばしばで、趣味と実益を兼ねた生活を目指しています。コンピューターを通じて「絵を描くこと」に巡り会えたのは僕にとって非常に幸運なことで子供時分より彩色にセンスのなかったマイナスポイントを見事にクリアーさせてくれました。何より車椅子にでも乗らないとコンピューターなどとは無縁の存在であったであろう類の人間の僕は、今こうしてこの便利な道具に出会った事によって現実問題として諦め眠っていた「夢」が日増しに大きくなっているのを体の中心から起こり押し寄せる波のようにひしひし感じています。
 このようにただ自分自身のことだけを考え夢に向かおうという姿勢をとれるのは周囲のサポートを考えずには語れません。親兄弟、彼女、友人、プロップの方々、ボランティアの方々と挙げていけばきっときりがないでしょう。貝本さんのカットだけど僕は今敢えてそのことは考えないでおこうと思っています。感謝はしています、がその行為はある種自分を美化する行為であり、時には後ろから襟をつかんできます。周囲の方々の真意をくむなら敢えてその上をドカドカと歩き続け掴むべき物を掴んだ暁には思う存分感謝し、自らも次の人の礎になりたいのです。自分に厳しく行く上でまだ自分は感謝すら自由に出来ない存在であると言い聞かせて行くべきである気がします。
 行く末は「社会に役立つ人間」よりも「社会が必要とする人間」にまでなるというとびっきりの大風呂敷を持って一人乗りのとてつもない大船(動力はみなさんの親切ですが・・・)に乗っています。でも船というものは色々な物を「風」という形を借りて帆いっぱいに受けてきっと後ろに進むことはない今の自分の心の象徴のような気がしてなりません。まだ目指す島は見えていません。

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