logo: CJF7th 参加大臣よりのメッセージ
坂口厚生労働大臣写真 厚生労働大臣坂口力

私は、CJFへの参加を楽しみにしています。

7月も半ばのある日、「厚生労働省はこんな予算の使い方をして欲しい」そういう一文が寄せられました。「チャレンジドを納税者にできる日本」を主唱する竹中ナミさんからの手紙でした。チャレンジドとは、何事にも挑戦する障害者のことです。「小泉フィーバーを愚挙、愚衆と呼ぶ評論家がいますが、国民はそんなにバカではありません」こんな書き出しで手紙は始まっていました。そして、次の文章へと続きます。

小泉内閣の「痛み」に対応する「セーフティーネット」が従来型の「救済のための補助金」では、国民は失望してしまいます。国民にとって真に必要な「セーフティーネット」のキーワードは「誇りある自立」です。救済ではなく、国民の誇りある自立を促す予算が必要です。私は何度もこの手紙を読み返しました。青春のころ、心を寄せる人から届いた文を、朝な夕な読み返したあの心境でした。

かつて小児医療に携わっていた頃、小児マヒになった子が退院する日、その若い母親が毅然として言った言葉を思い出しました。「この子の命を助けていただきました。この御恩に報いるためにも、足に障害は残りましたが、必ず人を助けることのできる人間に育てます」。あの子はどう成長したであろうか。あの母親の思いは、チャレンジドを納税者にしてみせると言う竹中さんの考えに通じるものがありました。そういえば、竹中さんも障害児を持つ親の一人でもあります。

限りある予算を配分する時、ややもすれば機械的に、慣例に従い、細切れのものにしてはいないか。役所の論理としては筋が通っていても、国民生活の現実からかけ離れてはいないか。確かに、救済のための補助金が余りにも多い。「もっと補助金を」、そんな言葉が巷にあふれる中で、「誇りある自立」を求める声はどれほど人の心を揺さぶり、勇気を与えてくれることか。

障害があっても、「人を助けることのできる人間」に成長しようとする人達のために、もう一度厚生労働行政を見直したいと思います。

【小泉内閣メールマガジン 2001/09/06】大臣のほんねとーく より