本日(2/7)読売新聞朝刊で、プロップ・ステーションの活動が紹介されまし た!

2016年2月7日

本日2月7日(日)読売新聞の朝刊(社会保障面)に

 「障害者『活躍』個別に配慮を」
 「特性見極め対応」
 「現場の相互理解必要〜改正障害者雇用促進法 4月施行」

とのタイトルで
スワンベーカリーとプロップ・ステーションの活動内容、ミッションが掲載され
ましたので、紹介させていただきます。

丁寧なご取材・報道に感謝するとともに、一人でも多くの方が「チャレンジドの
多様な働き方の創出」に、理解と応援をいただけたら幸いです。

<by ナミねぇ>

 

障害者「活躍」個別に配慮を

読売新聞 平成28年2月7日より転載

※紙面はクリップボードで画像でもご覧いただけます

障害者「活躍」個別に配慮を

特性見極め対応

 安倍首相が掲げる「一億総活躍社会」構想では、障害のある人も希望に応じた多様な働き方や社会参加を実現するための支援を推進するとしている。障害者雇用枠で働く人の数は年々増加しているが、真に「活躍」できる環境をつくるには、さらなる対策が必要だ。(館林牧子)

 昨年11月、東京都品川区の品川八潮パークタウン内に開店した「スワンベーカリー」には、焼きたてのパンを買い求める地域の人たちの行列ができていた。
「スワン」は障害がある人とない人が一緒に働くベーカリー。ヤマト運輸を創業した故・小倉昌男氏の発案で1998年に銀座に第1号店が開設され、現在は全国に29店舗ある。

 品川八潮店は、独立行政法人都市再生機構の関連会社で全国のUR賃貸住宅などの管理業務を請け負う日本総合住生活が、スワンの協力で初めて開設した。全国各地の集合住宅の入居者の高齢化が進むなか、「団地の活性化」策を模索していた同社がスワンの存在を知り、ノウハウを提供してもらうことになった。

 店では一般の職員に混じって4人の発達障害のある人たちが働く。開店前にパンをつくる練習に加え、障害者の自立支援を行うNPO法人「たいらか」(東京都港区)で研修を受けた。共同作業をしてもらい、臨床心理士が4人の得意な分野や苦手な点を観察した。発達障害があると、思わぬことが極端に苦手なことがあり、それが一人一人違う部分に現れるからだ。

 その上で、店の職員に4人の特性を伝え、能力をうまく生かす方法について話し合った。4人の1人の男性(29)は「研修で4人のチームワークもでき、働きやすい」と話す。

 厚生労働省によると障害者雇用の枠組みで働く人は昨年6月時点で約45万人。50人以上の従業員のいる民間企業に法定雇用率(現在は2・0%)の達成を義務づけたこともあり、10年間で1・7倍に伸びた。

 だが、企業や働く障害者からの相談も受ける「たいらか」理事長の山崎友丈さんは「雇用率を数字上達成していても実際には活用しきれておらず、言葉は悪いが、『もてあましている』という声も聞く。適切な配慮をすれば、もっと能力を引き出すことができる」と指摘する。


▲障害のある人とない人が一緒にパンづくりに取り組む(東京都品川区のスワンベーカリーで)

 神戸と東京に事務所を置く社会福祉法人「プロップ・ステーション」では1991年からICT(情報通信技術)を駆使して、就労の促進や雇用の創出に取り組んでいる。障害者雇用制度はあってもそもそも会社に行けない人は働けない。理事長の竹中ナミさんが、重度の身体障害のある人に「コンピューターがあれば在宅でも働ける」と言われたのがきっかけだった。

 まず、プロから技術を習い、後は先輩が後輩に伝授する。手が使えない人は足で操作。知的障害がある人でも表計算や画像処理ソフトを使いこなす。同法人が企業から発注を受け、個人の得意分野に応じて仕事を割り振る。厚労省によると、18歳〜65歳の障害者は約324万。雇用が増えたと言っても全体から見るとまだ少ない。同法人のような方式は現在、障害者雇用制度の枠外だが、制度に組み入れることで、通勤できなくても働ける人が増える可能性がある。

 竹中さんは「障害のある人の能力を引き出し、1人でも多くの人が誇りを持って活躍できるようにするにはどうしたら良いか。そんな視点で就労を考えてほしい」と話している。


▲ICTを使って連絡を取り合う竹中さん=左端(東京都港区のプロップ・ステーション東京事務所で)
障害のある人への「合理的配慮」の例 ※厚生労働省による
 <視覚障害>・募集内容の音声提供 ・点字や音声での採用試験。試験時間の延長
 <聴覚・言語障害>・筆談やメールを使った業務連絡
 <身体障害>・職場内の移動負担の軽減 ・机の高さの調節など作業を可能にする工夫
 <知的障害>・図表を活用した業務マニュアルの作成。手順の明確化
 <内部障害>通院、体調への配慮。業務量の調整
 <精神障害>・本人の状況を見ながら業務量を調整 ・出来るだけ静かな場所で休憩

現場の相互理解必要
改正障害者雇用促進法4月施行

 今年4月から障害者雇用促進法が改正される。2014年に日本が障害者権利条約を批准したことに伴う措置で、@雇用の分野での障害を理由とする差別的な扱いの禁止A障害者が職場で働く際の支障を減らす「合理的配慮」を雇用者側に義務づけるB雇用する障害者からの苦情の自主的な解決を事業者の努力義務とした上で、都道府県ごとに紛争を調停する委員会を設ける――ことが柱となる。

 厚生労働省は、「合理的配慮」として、車いすを利用する人向けに机や作業台の高さを調整する、知的障害を持つ人には口頭だけでなく分かりやすい文書や絵図を使って説明するなどを想定し、指針で具体例を挙げている。ただし、障害の幅や程度は個人差が大きく、個別の対応が必要なため、現場の相互理解のなかで運用すべきとしている。

 障害者の視点に立ち、働きやすく、成果を発揮しやすい環境を整えられるかが、企業に問われそうだ。

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