「字幕付きCM普及推進協議会」が第1回字幕付きCMセミナーを開催! 吉井勇さんからの便りです

2014年12月10日

いつも貴重な情報を届けて下さる、月刊ニューメディア編集長吉井勇さんからの「字幕付きCM」に関する最新情報を、感謝を込めて、転載させていただきます。

ぜひ、お読み下さい!!!

<by ナミねぇ>

以下は、吉井編集長からの便りです。

      ◇               ◇               ◇

12月9日は放送史に残る1日となりました。
「字幕付きCM普及推進協議会」が第1回字幕付きCMセミナーを開催したのです。

麹町にある全国都市会館の2階大ホールにはおよそ250名が、「字幕CM」に取り組むために集まったのです。
すべての人にテレビ番組を伝えるという1950年制定の放送法の考えが、字幕を付けるということで本格的に動いたのは1997年からでした。当時の郵政省が字幕や手話、解説という放送を推進することに乗りだしました。
その効果もあって、18年を経過して番組の多くに字幕が付いてきています。

ですが、放送時間の18%を締めるCMについては、地デジ移行期に「CMは字幕放送は取り扱えません」で、2008年まで本格的にCMに字幕を付けることができないままでした。そこに風穴を開けたのが、聴覚に障害のある方々の「CMの内容を知りたい」という声でした。

今では「それは当たり前でしょう」ですが、2000年当時は「CMは見てないからいいんじゃない」とか「字幕を付けたCMを放送するのは対応が難しい」という「出来ない論」の合唱でした。当時、日本の広告放送を担う民放連(JBA)と、広告スポンサーの集まりである日本アドバイザーズ協会(JAA)、そして広告会社が集まる日本広告業協会(JAAA)の広告を扱う3団体が、「CMと字幕」について共同で話し合う場すらなかったのです。

「それではいかん」とばかりに、3団体が集まって「字幕付きCM」の実現を話し合うテーブルが、総務省によって研究会という形で立ち上がったのです。そして7月に報告を取りまとめ、提言を発表したのです。
JBA、JAA、JAAAの3団体は具体的に連携して活動を行う場として、「字幕付きCM普及推進協議会」を立ち上げることが明記されたのです。

こうした取り組みから、昨日=12月9日に字幕CM協議会が主催して第1回のセミナーを開催することになったのです。会場は満席。放送局をはじめ、プロダクションや字幕制作プロダクション、また障害当事者も同席して講演に耳を傾けたのです。

エピソードをお伝えします。総務省の課長補佐に加え、経産省の課長補佐が出席し、聴講席に並んでいたのです。放送ですから総務省はわかりますが、なぜ経産省が、です。広告業は経産省の所管なのです。組織で言えば、JBAは総務省ですが、JAA、JAAAは経産省なのです。
障害のある当事者も参加、省をまたいで考えるという取り組みになっていることに注目したい。

もう一つ驚いたことがあります。講演した総務省の担当部署の課長はもちろん、JBA、JAA、JAAAの3団体の幹部は誰一人離席することなく、最後まで出席していたのです。主催者ですから当たり前といえばそうですが、幹部のすべての人が、このセミナーに集中していたということなのです。

会場は、情報保障として手話、PCによる要約筆記のプロジェクター投映が用意されていました。
この2つの情報保障は、総務省が開催した字幕CMの研究会でも当たり前のようにありました。
ここも見逃すわけにはいきません。

この日の講演から一つ、お伝えします。
講演内容は3団体の活動を紹介することが柱にして、総務省から行政の取り組みが報告されました。
こうした流れのなかで、ユニバーサルデザインアドバイザーの松森果林さんが中途失聴の立場で、「テレビCMにも字幕を」をテーマにして話したことと、JAAAから電通の佐多直厚さんが「字幕CM制作の現場」としてCMの表現と字幕の制作について広告のプロの立場から話したのです。

松森さんの講演は参加者に衝撃を与えました。
音もない字幕もないCMを、スポンサーの協力を得て流したのです。無音のテレビCM映像、です。そのあと字幕を付けたCMを見せてくれました。会場の参加者は、初めて聴覚に障害のある方がどういう状態でテレビを見ていたのかを知ったのです。

多分、想像はしていたと思いますが、実際に体験したのは初めてだったと思います。この映像のあと松森さんは、「失礼だと思いませんか」と述べました。これを聞き、ふと思いました。番組に字幕が付いて楽しむことができているのに、それに続くCMに字幕がない。このためテレビが「無表情」になってしまうのです。「失礼千万」ですね。

これから高齢社会です。すでに加齢による難聴者を加えると、日本は約2,000万人、総人口の16%が「聞こえ」に何らかの問題を抱えているのです。
テレビの字幕保障、これはすべての国民が考えるユニバーサルな問題でもあるのです。

貴重な1日、関係者の努力に拍手した次第です。

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