厚子さん公判傍聴記 その2 by ナミねぇ
〜誰が厚子さんを陥れたのか!?〜

2010年2月10日

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第5回公判を傍聴し、一日が過ぎたが、塩田元部長の証言を思い出すたびに、驚きあきれると同時に、怒りがふつふつと込み上げる。

厚子さんの不当逮捕・長期勾留というだけでも許せない思いでいっぱいだが、「虚偽の証拠によって、証言を誘導する」などという異常な取調べを検察が行うなど、許せないばかりか、背筋が寒くなるような恐怖を感じる出来事だ。

昨日の公判での証人出廷まで、塩田元部長については「厚子さんを罪に陥れ、自分は安全圏に隠れている」と、多くの人が思っていた。卑怯だ、許せない、出て来い、塩田元部長! という声が多数あった。そんな声に対して、厚子さんがいつも静かに「人は弱いものだから・・・」と話されることに、歯がゆい思いを抱いた者もいたくらいだ。

でも、吹っ切れた態度で法廷に現れた塩田氏は「密室の取調室で検事から、私が石井議員に証明書が発行されたことを報告する4分数十秒の電話交信記録がある」と言われ、「それならばきっと、記憶には無いが、最初の依頼も自分が石井議員から受け、村木さんに対応をお願いしたのだろう・・・と思い込んでしまった。」

「何度も何度も、交信記録があるのは本当か?本当なら見せて欲しいと頼んだが『有る』というだけで検事は最後まで見せてくれなかった。私は、お互いにプロの行政官であるという信頼感があるので『それが嘘だ』と思って聞いたのではない。自分が石井議員に報告した交信記録の内容を、正確に知る必要を感じたからだ。」

しかし「嘘」だった。
「交信記録は無い」のだと、裁判が始まってから、他の検事から聞かされた時のショックは、とても言葉では表せないくらいだ! 今ではこの事件は「壮大な虚構だと思っている」と、怒りを込めて証言し、そして何度も塩田氏は「村木さんに、本当に申し訳ないことをした。」と、証人席で繰り返した。

そんな塩田氏に裁判長が「では、あなたにとって事実といえることは何ですか?」と問うと「事情聴取を受けたことと、今ここに座っていること。それだけです。」と言って、唇を噛み締めた。

つまり事件の「出口」に自分が確実に関わっているなら、石井議員から電話を受けたという「入り口」にも、議員対応が仕事であった自分が関わったに違いない・・・いや、きっとそうだ・・・と、塩田氏に思い込ませる悪魔のような手口を使った林谷検事。そして取調べを担当する林谷検事に「そこまですることを命じた(!?)」大坪弘道特捜部長。

取調べに関する検察側のメモがすべて廃棄されて存在しない、という事実も含め「まさに日本の特捜検察の力量と倫理観は、地に堕ちた。」と言わざるを得ない。

虚偽の証拠によって誘導した供述調書と、虚構のストーリーを目の当たりにしながら公判に臨まねばならないS検事、E検事はじめ、公判担当検事の皆さんに、同情を覚えるほどである。

とはいうものの、裁判はどうやら、予定通り粛々と23回にわたり開催されるようである。もしかしたら検察側の必殺技が繰り出されるのかもしれない。厚子さんの完全な名誉回復までの道のりは、裁判の全てが終わり、無実が確定されてはじめて、その一歩が始まるのだから、気を緩めることなく見守り、支援し続けて行こうと思う。

<文責:ナミねぇ>

 

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