郵便不正事件 厚労省元局長が無罪主張 大阪地裁初公判

毎日新聞 2010年1月28日記事

「一切関与せず」

 障害者団体向け割引制度を悪用した郵便不正事件で、偽証明書作成に関与したとして虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)=官房付=の初公判が27日、大阪地裁(横田信之裁判長)であった。村木被告は「私は無罪です。虚偽の公文書作成に一切関与していません」と起訴内容を全面否認し、無罪を主張した。
 起訴状によると、村木被告は障害保健福祉部企画課長だった04年6月、係長だった上村勉被告(40)に指示し、河野克史被告(69)と石井一・民主党参院議員(75)の元秘書、倉沢邦夫被告(74)=3被告とも同罪などで起訴または公判中=らが設立した「凜(りん)の会」(解散)を障害者団体と認める偽証明書を作成させたとされる。
 検察側の冒頭陳述では、会に実体はなく、当時衆院議員だった石井議員の発行要請を受けた上司(部長)に便宜を図るよう指示された村木被告が、上村被告に「決裁なんかいいからすぐに証明書を作って」と指示して作らせた証明書を、倉沢被告に手渡した。また04年5月中旬、倉沢被告に頼まれ郵政公社(当時)幹部に電話し、割引制度の適用を図るよう依頼したとされる。
 弁護側は冒頭陳述で「被告は書類の作成自体を知らず、不正発行してまで国会議員の機嫌を取る必要もなかった。検察の捏造(ねつぞう)だ」と反論。村木被告の関与を認めた上村被告が、証人出廷して「指示はなく、証明書を1人で作成し河野被告に渡した」と村木被告の関与を否定する予定だと明かした。郵政公社への電話については「通信記録が存在しない」と反論。検察側は「電話があったと断言できない」とする公社幹部の供述内容を朗読した。【日野行介、牧野宏美】

「検察主張 理解できぬ」

 閉廷後、村木被告は会見し、検察側の冒頭陳述について「私がなぜそんなこと(指示など)を言わなければならなかったのか、なぜ偽の証明書発行の手伝いをする状況になったのか、全く分からず、不思議な感じがした。検察のストーリーは理解しがたい」と首をかしげながら語った。
 村木被告と親交がある福祉関係者らは支援活動を展開しており、初公判でも傍聴席から見守った。
 傍聴した社会福祉法人「プロップ・ステーション」(神戸市)の竹中ナミ理事長(61)は「村木さんはいつも通り堂々として落ち着いていた。無罪を確信しました」と話した。

(2010年1月28日 毎日新聞)

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