県民だより 兵庫 平成27年12月号より転載

元気コラム「障害者雇用」

兵庫県知事 井戸敏三

障害者雇用

皆さん県庁2号館の1階ロビーを訪れてください。喫茶「ドリームカフェ」があります。障害者の実地体験の場として、来庁者等へのサービスを提供し、就労体験の取り組みを通じて、障害者の就労促進を図ろうとするものです。

事業としては、まず喫茶軽食。2つは、日替わり弁当。私も随分ご厄介になっています。3つは、障害者事業所の製品の販売。インターネット販売サイト「+NUKUMORI(プラスぬくもり)」のアンテナショップになっています。また、スウィーツ甲子園で入選した商品の販売です。最近では、「ジャパニーズ サケ ケーキ」が有名。4つは、イベントの開催。県庁1号館の中庭で「マルシェ」商品市場を年3〜4回開催しています。

今後は、大学等と連携したイベントや障害を持つアーティストの発表等にも取り組むことにされています。障害者の人たちに製品販売を通じて夢を与え、みんなには心のこもった軽食や弁当などが提供され、お互いがうれしい関係をつくれる拠点となってほしいと思います。

障害者が職業人として自立した生活を実現できるように@一般就労における障害者雇用の拡大、A福祉的就労における作業のスキルアップや工賃向上等を行っています。

まずインターンシップです。@民間企業での職場実習、A県庁での文書発送作業や事務補助などの就業体験などを行っています。特に(一社)兵庫ビルメンテナンス協会と連携したビルクリーニング専門技能講習や、県旅館ホテル生活衛生同業組合等の協力を得て、有馬温泉での職場実習を行っています。

もう一つが、ITを活用した在宅での就労支援です。これを事業化しているのが、竹中ナミさんのプロップ・ステーション。「チャレンジド」(挑戦者)と呼び、障害者であっても健常者に負けない仕事をして、納税者になろうと呼びかけ、在宅障害者と企業等を連携する支援事業を立ち上げています。

県としても、障害者雇用に配慮した優先発注制度を持っています。500万円以下の事業について福祉事業所に随意契約の特例を行うほか、1千万円以上の庁舎清掃業務について総合評価契約とし、価格だけでなく、障害者雇用への配慮を評価して総合点数の高い企業と契約しています。

福祉的就労の一つに小規模作業所や地域活動支援センターがあり、地域において日中活動の場として利用されています。また、就労継続支援事業所があり、ここで授産製品が生産され、技術向上指導員やしごと開拓員を設置し巡回がされています。インターネット販売を行ったり、地域の特性を活かした商品開発や改良を進め、県としては、平成28年度には工賃1カ月当たり1・6万円を実現すべく支援を続けています。

障害者が働くには、能力や障害の特性等に応じて、フルタイムだけでなく、パートタイムや在宅勤務など多様な働き方が選択できる社会的環境をつくることが必要です。

障害者雇用率の引き上げなど企業での就業機会は増えつつありますが、さらなる拡大のためには、社会の担い手の一員としての障害者の参加できる環境をつくることが必要です。

また、福祉的就労においても意欲を高め、授産商品の高度化や新商品開発、販路拡大を行うとともに、一般就労への移行を進める必要があります。

まさしく、障害のある人もない人も、子どもから高齢者まで、誰もが同じ地域社会で生活者として主体的に生き、社会の支え手となることのできるユニバーサル社会を構築していこうではありませんか。


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