讀賣新聞 2013年7月12日より転載

【東日本大震災 明日への掲示板】

ハートのパン 心込めて

神戸や広島 13店が販売、寄付

東日本大震災の被災地復興の一助になろうと、神戸市や大阪市などの13のパン店が、ハート型のパンを販売して売上金を寄付する「ハートブレッドプロジェクト」に取り組んでいる。パン職人らは「募金感覚でパンを買ってもらい、被災地に思いを寄せてほしい」と、支援の輪の広がりに期待している。

「息の長い支援に」


ハート型のパンを焼く西川さん(神戸市中央区で)=益田直也撮影

発起人は、神戸・北野の「サ・マーシュ」を経営する西川功晃さん(49)。1995年1月の阪神大震災時、フランスで修行中だった西川さんは、急きょ神戸の師匠の元に戻り、一緒にパンを焼いて各避難所を回った。被災者が「ありがとう」と涙をこぼしながらほおばる姿に胸が熱くなった。

その記憶を重ね、東日本大震災直後の2011年5月、仙台市のホテルの協力を得て、焼きたてのパンを配った。その後、活動方法を模索するうち、「阪神の教訓」が頭をよぎった。

震災直後、多くのボランティアが全国から駆けつけた。しかし、月日を重ねるうちに、支援の手は減っていった――。東北の復興も長い時間がかかることを踏まえ、「息の長い支援にしなければ」と考えた。

発案したのが、賛同する店を募り、売り上げを被災地に送ること。母体となるNPO法人を昨年末に設立し、今年2月から本格的に販売を始めた。パンをハート型にし、被災地を思う心を示すことが共通ルールで、風味や大きさ、価格、寄付金額は各店が決める。

西川さんのパンは、拳ほどの大きさの米粉パン(157円)。大阪市中央区にある弟子の米山雅彦さん(42)の店「パンデュース」では、レモンジャムを練り込んだフォカッチャ(100円)を販売している。

メンバーは、取り組みをインターネットを通じて知った愛知県春日井市や広島市などの店にも広がり、寄付金も集まり始めた。11月には大阪市内でPRを兼ねたパン教室を開き、参加店を募る。問い合わせは同プロジェクト事務局(080・8521・3320)。

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