毎日新聞 2011年7月17日号より転載

パン作りには感性

北区 一流シェフが障害者に講習


講師の西川シェフ(右端)から米粉のパンを学ぶ受講生たち =北区で

福祉作業所や施設でパンや菓子作りに携わる精神・知的障害者を対象に日本を代表するパティシエらがパン、ケーキなどの技術やレシピをボランティアで伝授する講習会「神戸スウィーツ・コンソーシアム(KSC)」が16日、北区大供3の西日本調理製菓専門学校で開かれた。受講生たちは間近に一流の技と味に触れ、新たなパンづくりに意欲を示していた。

KSCは神戸市の社会福祉法人「プロップ・ステーション」の理事長、竹中ナミさん(62)が「スウィーツの世界で活躍するチャレンジド(障害のある人)を生みだそう」と提唱した。08年6月から東京、大阪、神戸、和歌山などで開講。受講者は作業所でリーダーとなってケーキやパンなどの製造に活躍し、KSCで修得したスウィーツを商品化し、収益を上げている例も多いという。

岡山で初めてとなるKSCには、県内や山口県から5人が受講。神戸市内の名店「サ・マーシュ」のシェフ、西川功晃さん(47)が、米粉のパン、米粉のパン生地を使った抹茶あんぱんなどを披露した。

受講生たちは西川さんの説明を懸命にメモにとり、生地を丸める西川さんの指先を食い入るように見つめていた。パン作りに挑み、分割した生地を成形したり、抹茶あんをていねいに包んでいた。西川さんは「パン作りには感性が大事。チャレンジドの皆さんの感性は素晴らしく、私の想像を超える新しい製品を生み出す可能性を秘めています」と話す。

竹中さんは「障害があっても世の中で活躍できる仕組みを作るために始めたプログラムです。人はおいしいものを食べると笑顔になります。大勢の人に笑顔を与えられるチャレンジドをKSCから送り出したい」と話していた。講習会の調理方法などは、インターネット(http://www.kobesweets.org/)でも公開されている。【小園長治】

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