日本パン・菓子新聞 2009年11月15日より転載

社会福祉法人 プロップ・ステーション

神戸スウィーツ・コンソーシアム in 東京
手混合で作る素材の持ち味を生かしたパン

 パティシエを目指す障害者を支援する社会福祉法人プロップ・ステーション(神戸市東灘区、竹中ナミ理事長)主催の「神戸スウィーツ・コンソーシアム in 東京」が9月26日、コンソーシアムメンバーである日清製粉小網町ビル加工技術センターで開催された。
 全6回の講習会のうち同日は4回目だが、初めての製パンセミナーとなった今回は神戸「ブーランジェリー・コム・シノワ」の西川功晃氏を講師に迎え、ポテトの持ち味を生かしたパンとそのバリエーションなどを講習した。

竹中ナミ理事長の写真
竹中ナミ理事長

 開会で挨拶に立った社会福祉法人プロップ・ステーションの竹中ナミ理事長は、「パンは受講生のみなさんもいつも食べていると思いますが、身近なだけに作り方にも深いコツがあるでしょう。そこをしっかり学ぶ機会になると思います」と話した。西川シェフは「26年間パン作りをしていますが、やればやるほど奥深いと感じます。パン作りはシンプルな素材の組み合わせですが、命を育てていくような感覚を持って作ってほしいと思います」と挨拶し講習に入った。当日は群馬県太田市から市議会議員が視察に訪れるなど、同プロジェクトに対する関心の高さがうかがわれた。昨年6月に発足したこのプロジェクトはお菓子作りが好きな精神・知的障害のある人"チャレンジド"を対象として、パティシエとしての就労やスキルアップを目指し半年にわたって講習会を開催しており、昨年の修了生の中にはすでに学んだ菓子を作業所単位で製品化している人たちもいる。

 ここでは当日講習されたパン2種とそのアレンジを紹介する。

 

西川功晃氏の写真

TODAY'S CHEF

西川功晃氏

1963年生まれ。「広島アンデルセンパン部門」、「オーボンヴュータン」、「ビゴの店芦屋店」等を経て1996年に神戸市中央区に「ブーランジェリー・コム・シノワ」をオープン。 パンに関する著書も多数。

 

ポテトパンの写真

ポテトパン
ポテトをそのままパンにしたような、ほどよい重みのある生地が特徴

【生地配合】(g)
フランスパン専用小麦粉(リスドオル)・・・・・・・・・・1000
インスタントドライイースト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・750
グラニュー糖(三井製糖)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
蒸したジャガイモ(男爵薯)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・430

【工程】
ミキシング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・手混合
捏上温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25℃
一次発酵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32℃ 65〜70% 30分
分割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
ベンチタイム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20分
成形・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・平らな丸型
二次発酵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30分
焼成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・表面にオリーブ油を塗りピケをして岩塩をかける。 上火250℃下火220℃ 。15〜17分

POINT
●手混合では混ぜすぎに注意しながら生地を握りつぶすように混ぜる
●表面にオリーブオイルを塗るとしっかりと焼き上がる

 

ベーコンとチーズのガレットの写真

ベーコンとチーズのガレット
ジューシーなベーコンとチーズをたっぷり混ぜ込んだポテトパンをアレンジ

【生地配合】(g)
ポテトパンに同じ

【工程】
ミキシング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ポテトパンの生地1kgに対し軽く焼いたベーコン200g、ミックスチーズ150g、プロセスチーズ150gを混ぜる
一次発酵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30分
分割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
成形・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・平らな丸型
二次発酵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20分
焼成表面にオリーブ油を塗りパルメザンチーズをかける。 上火250℃下火220℃15分

 

ソフト・パン・コンプレの写真

ソフト・パン・コンプレ
バターと脱脂粉乳を配合し食べやすく仕上げたバゲット風生地のパン

【生地配合】(g)
<前日処理>
全粒粉(日清製粉 グラハム粉)・・・・・・・・・200
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・200
前日に全粒粉と同量の水を混ぜておく
前処理済み全粒粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・400
フランスパン専用小麦粉(日清製粉
リスドオル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・500
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
インスタントイースト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
脱脂粉乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
グラニュー糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

【工程】
ミキシング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ミキサー使用
捏上温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26℃
一次発酵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30分
分割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・600g
ベンチタイム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20分
成形・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パウンドケーキ型
二次発酵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30分
焼成 上火250℃、下火220℃ 12〜15分

POINT
●バターは冷蔵庫から出して少し置いてから使う
●脱脂粉乳は小麦粉と合わせたら固まらないようにすぐに混ぜる

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