ユニバーサルデザイン 2009年秋号より転載

神戸スウィーツ・コンソーシアム(KSC)in東京
「チャレンジド・プログラムVol.2」

一流パティシエが
「チャレンジド」を直接指導

マドレーヌの写真
初回は焼き菓子の「マドレーヌ」を作った

 社会福祉法人プロップステーションは、障害のある人々を「チャレンジド」(挑戦という使命や課題、挑戦するチャンスや資格を与えられた人)と呼ぶことを提唱し、障害のネガティブな部分ではなく、彼らの持つ可能性に着目し、長年にわたり支援してきた。その一環として、昨年6月に神戸スウィーツ・コンソーシアム(KSC)を発足し、兵庫県内の参加者を中心に「チャレンジド・プログラムVol.1」を開催。作業所や授産施設でお菓子作りにたずさわっていて、なおかつプロをめざす熱意を持った知的・精神障害のある人たちに、一流のパティシエたちが直接指導を行い、8名が巣立っていった。

八木淳司講師の写真
八木淳司講師による実演

 そして2009年6月20日、開催地を神戸から東京に移し、日本橋小網町の日清製粉(株)小網町ビル加工技術センターで、KSC in 東京「チャレンジド・プログラムVol.2」が開催された。講習は全6回の予定で、書類審査で選ばれた8名の受講生が継続的に参加する。

 東京での第1回目の開催となるこの日は、モロゾフ(株)テクニカル・ディレクターの八木淳司さん(オーストリア政府公認マイスター)を含め、4名の講師が出席。八木さんを中心に、焼き菓子のマドレーヌを作る実習を行った。受講生は八木さんの実演を見ながら、真剣なまなざしでメモを取る。ある受講生の当日配布されたテキストの白地部分は、みるみる黒くなっていった。

永井紀之講師と受講生の写真
フランス菓子店「ノリエット」の永井紀之講師と受講生

 室内に甘い香りが立ち込め、受講者のマドレーヌが焼き上がると、プログラムには無かったフランス菓子店「ノリエット」シェフ、永井紀之講師による講評が行われた。焼き色にムラがついた理由や生地が膨らまなかった理由をあげて、どうすれば改善できるか、丁寧に解説した。

 主催団体のひとつ、プロップステーションの竹中ナミ理事長は「講師の方々は皆さんプロですから、厳しいことも言うと思います。ですが、『チャリティーで買ってあげよう』というのではなく、おいしいから買ってもらえる商品を作るには必要なことです」と話した。

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