あいぽーと通信 平成20年 No.6号より転載

一人ひとり生きているスピードがちがう

「プロップ・ステーションの挑戦」

竹中ナミの写真
竹中ナミさん

 あいぽーと徳島では、県民を対象とした県民講座を年3回、開催しています。9月20日(土)に実施した第2回県民講座は、プロップ・ステーションの代表・竹中ナミさんを招き、「すべての人が誇りを持って生きられる社会を」と題して障害者の自立と社会参画について講演していただきました。

 プロップ・ステーション※1は、「チャレンジド※2(challened)を納税者に」を合言葉に大阪と神戸を拠点としてICT(Information and Communication Technology=情報・通信に関する技術の総称)を活用し、コンピュータの技術指導、在宅ワークの就労促進を柱に就労支援を行っている社会福祉法人で、すべての人が「持てる力を発揮し、支え合うという誇り」を持って生きられるユニバーサル社会(共生・共助社会)の実現をめざしています。

 プロップ・ステーションは、18年前に設立しました。当時、全国の障害者にアンケート調査をすると「コンピュータを使って働きたい」という希望が多くありましたが、まだ障害者がコンピュータを活用して働くことが、受け入れられる状況ではありませんでした。障害者が社会で生きていくため、障害をマイナスと捉えるのでなく、社会保障などの制度を活用しつつ就労のチャンスを得て、社会参画や納税というかたちで「支える側」に回ることのできる社会システムの構築が、日本に必要であると考え、活動してきました。

 とくにバリアの大きいチャレンジドの就労における様々な障壁を取り除く知恵や努力は、チャレンジドのみならず、多くの人たちにとって、「自己実現可能な未来」への道を切り拓くのではないかと考え、そのための手段としてコンピュータに着目し、「コンピュータネットワークを活用した在宅ワーク」を含む広範な就労の場の創設に向け、あらゆる分野の人たちと連携しながら、目標に向かって進んでいます。

 以上のような話があり、プロップ・ステーションを通じて社会参画しているチャレンジドの具体例がいくつか紹介されました。また、障害者問題に取り組むようになったのは、娘(35歳)が重症心身障害児として生まれたことから、「自分が亡くなっても娘が生きていけるように」と、日々の療育の中で障害児医療・福祉・教育について独学し、チャレンジドの自立と社会参画をめざして活動を続けていることが話されました。

 竹中さんは、「世の中、この道を生きていくのが普通という人ばかりではない。一人ひとり生きているスピードが違う。認められるかどうか。待てるかどうか。その子(人)ができることが見えたときに、可能性を引き出せる仕組みがあればいい。」と語ってくれました。

※1プロップ・ステーション------prop station:支え合う場
※2チャレンジド---------------the challenged
  新しくアメリカで生まれた言葉で、障害のある人を表す。「『挑戦』という使命や課題あるいはチャンスを与えられた人」という意味がある。

詳しくはHPで、http://www.prop.or.jp

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