産経新聞 11月9日より転載

一流菓子職人の技術伝授

障害者雇用プロジェクト

菓子メーカーや一流パティシエなどが協力し、菓子職人を目指す障害者にスウィーツ作りの技術を教えるプロジェクト「神戸スウィーツ・コンソーシアム」が8日、発足した。約15年前から、障害者の雇用、就労促進に取り組む社会福祉法人「プロップ・ステーション」(神戸市、竹中ナミ理事長)が企画。全国初の試みといい、竹中理事長は「スウィーツ業界で活躍できる障害者を育て、神戸の活性化にもつなげたい」としている。

 洋菓子発祥の地・神戸ならではの障害者支援をしようと企画。神戸市のほか、県内外の製菓業者など十数社の協力を得て実現した。

 来年4月からスタートし、菓子職人を目指す障害者を対象に、菓子作りの講習会を開き、一流パティシエのレシピを公開。菓子作りの技術を提供し、製菓業界への就職を支援していく。

 この日、三田市内で開かれたフランス人パティシエの講演会で、竹中理事長がプロジェクト発足を公表。「神戸光の村授産学園」(神戸市北区)に通い、菓子職人を目指す貴島英美子さん(22)は「プロの人からケーキ作りを学べるなんて夢のよう。ぜひ参加したい」と話していた。

 

竹中理事長(前列右端)らの写真
「神戸スウィーツ・コンソーシアム」発足を発表する竹中理事長(前列右端)ら=三田市テクノパーク

 

県内自治体、企業 広がる支援の動き

 働く意欲のある障害者を支援しようとする動きは、県内の自治体や企業に広がりをみせている。

 神戸スウィーツ・コンソーシアムが発足した8日、明石市役所2階に障害者が常勤で働くコンビニエンスストアがオーンした。市が障害者の常勤雇用を条件に誘致し、20〜50代の4人を採用。平日に4〜5時間勤務するという。

 これまでにも、平成16年5月、障害者の自立を支援するパン店「スワンベーカリー」が、神戸市長田区に店舗をオープン。15年1月には、通信販売会社の「フェリシモ」(同市)や県などが、就労支援プロジェクト「チャレンジド・クリエイティプ・プロジェクト」を発足。小規模作業所で製作され、デザインなどをアレンジした商品を、カタログやインターネットで販売している。

 県は今年、障害者自立支援法に基づく障害福祉計画を策定し、障害者の就労支援を強化。平成23年度までの新規就職者を1万人に設定。現状の年間約1500人からの大幅拡大を目指しており今後、支援の動きはさらに広がりそうだ。

(阪神支局 林佳代子)

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