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毎日新聞 2006年12月22日より転載

 

年年歳歳

 
 

「さすが、みっちゃんや!」

 
 

竹中 ナミ

 

竹中ナミの写真

 親友の「みっちゃん」は、今年2月に尊敬する先輩弁護士と結婚され、妊娠。そして予定より1ヵ月早く、帝王切開にて出産されました。「みっちゃん」というのは、弁護士大平光代さんのニックネームです。「これから手術室に入るんだよ〜、でも元気やから心配せんとって!」。ベッドの上からそんな携帯メールを貰って「頑張ってきぃや〜」と、励ましのメールを送った私でしたが、数日後、彼女から電話があり「女の子授かったけど、ダウン症やねん」とのこと。

  「えっ!?」という私に「でもナミねぇ心配せんとってよ。私もナミねぇの世界に入っただけや。インターネットで調べたら、ダウンちゃんの赤ちゃん体操とか色々あって、やってあげることいっぱいあるみたいやねん」と冷静そのもの。「う〜む、さすが、みっちゃんやっ!!」と感服しました。

  でもその後、彼女自身が帝王切開の跡がなぜか壊死(えし)して再手術したり、赤ちゃんも小さい身体に心臓疾患の治療をいろいろ施さなければならないなど、本当に不安で大変な日々が続き、みっちゃんご夫妻の心労はいかばかりだったでしょう。

  「悠(はるか)」と命名されたその赤ちゃんを、10月下旬に「1日だけ家に連れて帰って、夫婦でお風呂に入れました!」というメールをご主人からいただいた時は、まるで我がことのようにドキドキする嬉(うれ)しさでした。

  今、悠ちゃんは自宅で「母みっちゃん」に抱かれて、年明けの手術までしばし平穏な毎日を過ごしています。みっちゃんに招かれたので、近々、私も悠ちゃんを抱っこさせてもらいにお伺いする予定です。

  母みっちゃんが心を痛めるのは、やはり頻発する「イジメによる子供たちの自殺」です。「自分自身が自殺しようとした経験を持つからこそ、それでは解決にならんということを痛感している。この子ととも生きる中に答えがあると確信している」と、みっちゃんは言います。

  悠ちゃんを授かって、新たな使命を与えられたみっちゃんに、私は心からお祝いの言葉を贈りたいと思います。「悠ちゃん誕生、本当におめでとう! そしてチャレンジドの世界へ、ようこそ!!」

(たけなか・なみ=プロップ・ステーション理事長)

 




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