毎日新聞 2006年3月13日より転載

地域のニュース こうべ

ナミねぇに会って

支局長からの手紙

大変失礼ながら、シンガーのつのだ☆ひろさんをオバサンにしたような貫禄の方を勝手に想像していたのですが、はるかに小柄で、しかもお茶目でとても周囲に気を配る女性でした。

神戸市・六甲アイランドにある社会福祉法人プロップ・ステーションの理事長、竹中ナミさん(57歳)とお会いした時の印象です。愛称ナミねぇ、16歳での結婚歴、政府中枢から海外にまたがる幅広い人脈など、事前に仕入れていた情報だけで、迫力を感じていたからです。

プロップとは「助け合い」の意味。障害者向けにIT(情報技術)を活用したセミナーを開催し、身に着けた技術によって、行政や企業から仕事を受注できるようコーディネイトするのが、竹中さんの団体です。その活動は、名だたるIT企業や政府からも注目を集めています。

かつては不良少女だったという竹中さんが、プロップを立ち上げたのは、重度の脳障害を持つ長女麻紀さんを授かった経験からでした。著書「ラッキーウーマン」(飛鳥新社刊)で竹中さんは「親としてあまりに非力なことを思うと、情けなくなって何度も涙がこぼれた。そういうときはトイレに入ってジャージャー水を流しながら、わんわん泣いた」と書いています。

しかし、四つ葉のクローバーと同じように、自然界では異端でも、それを幸せのシンボルと思えるようにしたいと竹中さんは考えるようになりました。天性の明るさ、人なつっこさがこの人の強さです。

そんなナミねぇに、4月から地域面のリレーエッセー「年年歳歳」の執筆陣に加わっていただくことにしました。

このコラムは、弁護士の宮内俊江さん△神戸大生の池田かずこさん△県立淡路夢舞台温室「奇跡の星の植物館」プロデューサーの辻本智子さん△県歌人クラブ代表の楠田立身さん△JTB広報課長の高崎邦子さん△ワールド「リフレクト」スーパーバイザーの細目明子さん―の6人の方にお願いしてきました。

いずれも独自の足場を持つ方々ですから、一般記事にない新風を紙面に送り込んでもらっています。ただ、スタートから3年近くがたち、主婦の大学生だった池田さんも今春めでたく卒業されることから、思い切って新しい方々にご登場いただくことにしました。

竹中さん以外の執筆者は、今月下旬に掲載予定の「4月からの紙面改革」でご紹介します。これまで以上に面白く、役に立つ紙面を目指して、大胆なモデルチェンジを考えていますので、ご期待ください。

【神戸支局長・古賀攻】

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