フジサンケイ ビジネスアイ 2006年1月16日より転載
テイクオフ神戸空港
ハードとハートで配慮
矢田立郎・神戸市長に聞く
神戸空港を「ユニバーサルな空港」にしようと、さまざまな取り組みが進んでいる。空港の設置者である矢田立郎(たつお)・神戸市長(65歳)に聞いた。
――設置者としての考えを
「神戸市の2010年ビジョンの中で、柱の一つにかかげているのがユニバーサルな町という概念。空港に関しても、ユニバーサルであることを機能の一つとして位置づけている。市民の具体的な提案も随所に取り込んでいる。あらゆる人が利用しやすいようにと、ICチップを使ったユビキタス実証実験にも取り組む。全国に先駆けた空港になると思う」
――神戸空港のセールスポイントは何か
「何を置いても『ユニバーサルな空港』であること。これを強くアピールしたい。空港の中では動線を分かりやすくし、障害者や高齢者、乳幼児を連れた方など、どんな人でも来ても困らないように配慮している。障害になるものがあってはならないと思う。また、案内表示も多言語による表示にしている」
――課題は何か
「真にユニバーサルな空港を実現するには、空港で働くスタッフの心が非常に大切だ。それがベースになってこそ、実現できると思う。ハードとハートだ。神戸空港での取り組みが市民に伝わり、町全体に広がって、ユニバーサルな町になっていけば素晴らしいと思う」
(佐久間史信)
ユニバーサル国家への道
- ユニバーサル(universal)
- 「万人共通の」「全人類のための」などを意味する英語。年齢や能力に関わりなく、誰でも利用できて使いやすい製品、生活環境をつくることを「ユニバーサルデザイン」と呼ぶ。そうした考え方やIT(情報技術)などを駆使して、誰もが生活しやすい国づくりが始まった。