徳島新聞 2006年1月3日より転載

鳴潮

穏やかな正月である。新しい年に人々はどんな祈りを込めただろうか。不信が増幅する時代にあって「今年こそ明るい年に」と願わざるを得ない

今年の干支(えと)である戌(いぬ)と人との絆(きずな)は昔から深い。犬は人生のパートナーとして欠かせない存在となった。独居の高齢者や引きこもりの子供を癒す。障害者にとっては盲導犬、介助犬、聴導犬が心強い。しかし、その数はまだまだ少ない

今年は本県の障害者福祉にとって節目の年になるだろう。春に障害者の自立と社会参加を促進する「障害者交流プラザ」ができるからだ。既存の施設を集約し、機能を充実したこのプラザは障害者やボランティアらの新しい活動拠点になる。大いに活用したい

米国では障害者のことを「チャレンジド」と呼ぶ。神からチャレンジという使命を与えられた人を指すそうだ。障害者の就労支援活動に取り組む竹中ナミさんらが日本でこの言葉を広めている

重い脳障害の娘を持つ竹中さんは言う。「障害者という言葉はマイナスイメージが強い。すべて人間には自分の課題に向き合う力が備わっている。障害者のできないところではなくできるところを見てほしい」

格差社会が進み日本はますます生き難くなった。だが支え合い思いやる精神は忘れないでいたい。チャレンジドが輝く社会を目指そう。

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