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OLマニュアル 2005年6月号より転載

 

「不運の種」が「幸運の花」を咲かせる!

 
 

竹中ナミの「ラッキーウーマン」への道

 
 

最終回 支え合い精神で行こう!

 

プロップ・ステーション代表 竹中ナミ

竹中ナミの写真

●たけなか なみ
24歳の時、重症心身障害児の長女を授かったことから障害児医療・福祉・教育を独学する。平成3年、就労支援活動「プロップ・ステーション」を創設。「チャレンジド(障害者)を納税者にできる日本!」をスローガンに活動を開始。軽快な関西弁トークと「苔が五重に生えた」心臓を武器に、チャレンジドが誇りをもって働ける社会を目指して、政官学業へ独自の人的ネットワークを広げつつ活動を推進。[近況]現在国立病院の重症棟に入院している娘は、会うたびに笑顔が豊かになってきました。そんな時、えもいわれぬ幸せな気分になる「親バカ母ちゃん」の私。これからも娘とともにまったりした人生を送りたいと思います。

 


みんなの支援は欠かせない!

 障害を持つ娘を授かったことで、私の人生は大きく転換することになりました。しかし、自分の働きかけだけでなく、たくさんの方々の支えがあったからこそ、ここまで来ることができたと思っています。

 はじめは障害に対する知識を習得しに行ったり、周りにSOSを出して手伝ってもらったり…。しかし、そのうち娘が養護学校に通うようになると、私は空き時間を利用して市の総合福祉センターで介助ボランティアをすることになりました。そもそもの動機は自分の体をなまらせないため、そしていずれ娘がお世話になる時のことを考えた「介護力維持」のためでした。幸いボランティアは大歓迎されましたから、そこで活動をするうちに職員さんとも親しくなり、その中で施設運営の難しさや、日本の福祉の現状も知ることができました。

 こうしてボランティア活動を続けると、障害者を介護するためではなく、障害者の自立を支援するための戦力として協力してくれないか、という要請を受けるようになったのです。この時の活動がきっかけとなり、やがてプロップ・ステーションの設立へと続くわけですが、そこでもやはりたくさんの方々に支援していただきました。

 ITを活用して障害者の自立を目指す社会福祉法人など前例がありませんでしたから、社会福祉法人格の認可が下りるにもひと苦労でした。しかしそんな私たちの後押しをしてくれたのは、それまで全く直接的な関わりもなかった政治家の方々。さらには、認可が下りるのに必要となる基金を提供してくださった、マイクロソフト社の成毛真氏(当時)、ビル・ゲイツ氏。彼らはみんな、新聞や雑誌に取り上げられた私たちの活動に、「これからの日本はこういう活動が必要だ!」と賛同してくださっていたのです。

 

情けは人のためならず

 よくことわざで「情けは人のためならず」と言いますが、この世の中まさにその通りなのではないでしょうか。「私が、私が」と自分中心に物事をとらえたり、「私には関係ないから」とそっぽを向いたり。このように他人に興味を持たないで、自分のことばかり考えている人が多いような気がします。しかし、人になにかをするということは、結局は自分のためになるのです。ですから、いろいろな人と関わって、お互いに持ちつ持たれつしながら暮らしていくことが大切だと思います。

と言うと一方的にしてもらっている、と感じるかもしれませんが、そうではありません。私たちの活動に賛同してくださった方々に私たちが返せるのはただ一つ、真摯に活動に取り組むこと。ですから、支援して良かった、応援して良かったと思ってもらえるようにつねに活動の状況を報告して、つねに前進している姿を見せられるようにしています。

 たとえば、自分のほんのちょっとしたひと言で人に感謝されたり、元気になってもらったり。そんなささいなことでも相手に反応があると、自分も嬉しくなりますね。「情けは人のためならず」、自分が幸せになるためにも、ぜひ周りの人にたくさん幸せを与えられる人になってください。

 私がこうしてたくさんの人と関わりを持つことになったのも娘のおかげ。私は娘を四つ葉のクローバーだと思っています。普通のクローバーが三つ葉の中で、四つ葉は異端。しかし、幸せのシンボルとして、大切に扱われるものです。娘も「標準から外れているから悪い」ではなく、「これはラッキー!」と感じる四つ葉と同じ。

 人との違いをマイナスと思わず、プラスと思える気持ちをたくさんの人が持てば、もっと素敵な世の中になるはずです。人間はひとりでは生きていけません。たくさんの人と関わって素敵な人になりたいものですね。そう、プロップ(支え合い)の精神のもとに。

 

タカハシカズエさんのイラスト



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