[up] [next] [previous]
  

OLマニュアル 2005年4月号より転載

 

「不運の種」が「幸運の花」を咲かせる!

 
 

竹中ナミの「ラッキーウーマン」への道

 
 

VOL4 ストレスを溜めない方法

 

プロップ・ステーション代表 竹中ナミ

竹中ナミの写真

●たけなか なみ
24歳の時、重症心身障害児の長女を授かったことから障害児医療・福祉・教育を独学する。平成3年、就労支援活動「プロップ・ステーション」を創設。「チャレンジド(障害者)を納税者にできる日本!」をスローガンに活動を開始。軽快な関西弁トークと「苔が五重に生えた」心臓を武器に、チャレンジドが誇りをもって働ける社会を目指して、政官学業へ独自の人的ネットワークを広げつつ活動を推進。[近況]チャレンジドの国際会議に出席してきました。ハワイではウェブから車椅子の申請などができるそうで、日本でもITをより活用できるようにしていきたい、と思いました。

 


視点を変えてみよう!

 今の世の中、ストレスが溜まって神経の疲れた人が増えていますよね。私はよく人から「どうしたらそんな風に能天気になれるの?」なんていわれるんですが、精神的につらくならないように自分で工夫しているんです。

 たとえば、娘に障害があるとわかった時も、「つらい」「かわいそう」「大変」なんて思っていたら身がもちません。ですから「世間のルールに当てはめるのではなく、私は娘のいいところを見てあげればいいじゃない」と思うようにしました。だからこそ、以前お話ししたように「不遜にも開放感を得られた」なんて開き直れたのでしょう。

 こんな風に視点を変えられるのは、私が図太いかもしれませんね。しかし、意識して習慣化することで、案外誰にでもできるようになると思いますよ。

 障害のある子供を持つお母さんは、「どうして私だけがこんな目に遭うの!?」と最初は思うけれど、「ほかにも自分と同じ境遇の人がいる」とわかると苦しみが半減するそうです。だとしたら、最初から「ほかにも私みたいな人はいる」と考えるようにしてみるのです。そんな風に視点を変えれば、早く苦しみから解放され「みんなつらい中で頑張っているんだから、私も頑張ろう!」と、前向きに行動するきっかけを得られるのではないでしょうか。

 最初は難しいかも知れませんが、だんだんとできるようになりますし、こういう考え方はいろんなところに応用が効くと思います。

 

周りにSOSを出そう!

 本当につらい時には周りにSOSを出すことも大切。私なんて息子の学校友達にまでSOSを発していました(笑)。

 障害のある娘が7歳になった頃、少し立てるようになったんです。でも支えていないと立てないので、私のほうが腱鞘炎になってしまいました。雑巾も絞れず、お茶碗すら持てず、肉体的にボロボロ…。

 そういう時に「それでも自分がやらなければ!」と思っていたら潰れてしまいます。ですから周りにたくさん助けてもらいました。

 「手抜き」とか「ちゃらんぽらん」という人もいますが、人に助けを求めることは自分を大切にすることだと思うのです。

 「娘と一緒に遊ぼう」「バギー押して散歩に行こう」と、息子や息子の友達に"遊び"という名を借りてSOSを出しました。だからこそ、体を壊すことなく、楽しく娘の面倒を見られたのでしょう。

 日本人はSOSを出すのが下手というか、人様に「助けて」というのを恥ずかしがる傾向がありますよね。私はメールで相談を受けることも多いのですが、周りにSOSをうまく出せずに、精神的に追い詰められて鬱になってしまう人が多いんですよ。

 自分のキャパシティーをはるかに超える仕事量を、全部自分でやらなければならないと思っていたり、家事に育児にてんてこ舞いなのに、ご主人に「手伝って」といえなかったり…。繊細で責任感が強い人ほど、自分で自分を追い詰めて苦しくなってしまうんです。

 どうしてもつらい時には恥ずかしがらずに周りに助けを求めましょう。

 私がSOSを出せるのは「所詮私はこの程度」といった具合に、いい意味で自分のレベルをわかっているから。自分のほうが人より勝っている、なんて思っていたらムリしてしまうし、しんどくなります。ですから自分への評価をちょっとだけ下げて「どこまでならできて、どこからはできない」という範囲を自分で常に意識しています。これはお酒と一緒なんですよ。自分の限界を知らないで飲みすぎると大変なことになってしまいますよね。

 精神的なストレスを溜めないために、自分の限界を知ってそれ以上頑張りすぎないことが大切なのです。つらくなりすぎる前に上手にコントロールできれば、楽に生きられると思いますよ。

 

タカハシカズエさんのイラスト



プロップのトップページへ

TOPページへ