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日刊建設産業新聞 2005年3月11日より転載

 
来年度、本格実証実験へ
 
 
自律移動支援プロジェクト
 
 
 
 
国交省 神戸と愛知万博で実施
 
 国土交通省は、「自律移動支援プロジェクト推進委員会(委員長・坂村健東京大学大学院教授)」の第3回会合を17日に東京・品川区のホテルラフォーレ東京で開催する。同委員会は、同省がユビキタス社会の構築を目指して進める「自律移動支援プロジェクト」の今年度、神戸で実施したプレ実証実験の結果を報告するほか、来年度行なう神戸と愛知万博での本格実証実験について進め方などを説明する。今後は実証実験の結果をもとに来年度内に技術仕様書をまとめ、06年度から順次各地へ展開、10年後のシステム定着を見据えている。

 プロジェクトは、ユビキタスネットワーク技術を活用し、産学官と市民の連携のもと、移動経路や交通手段、目的地などに関する情報を障害者、健常者を問わず「いつでも、どこでも、だれでも」が利用できる環境づくりを目指すもの。プロジェクトには、多くのサポーターが参画、地方公共団体は23自治体、民間も63社・団体となっており、民間では日本プロジェクト産業協会(JAPIC)をはじめ、竹中工務店やセメント協会といった建設業関連企業・団体も参画している。

 来年度の実証実験は、今年度からプレ実証実験を開始した神戸市のほか、25日から開催される愛知万博「愛・地球博」の会場でも行なわれる。神戸では今年度に三宮の地下街と京町筋、日銀前交差点の交差点部と前後の路上で実施したが、来年度はこれを拡大する。新神戸駅や旧居留地、メリケンパーク、市民広場駅、アイランドセンター駅を加え、実験にあたっては、一般市民を対象とするモニターを神戸市が中心となって公募する予定。現在、ICタグの埋め込み作業を行なっており、年度内にも完了する見込みだ。

 システムは、0.4mm四方のICタグを点字ブロックや壁等に貼り付け、携帯端末や誘導杖に組み込まれたリーダーが読み取り、目的地や経路、店鋪の情報を端末を通して伝達する仕組み。英語や中国語など外国語での案内も可能となるほか、緊急時の信号も発信し、同一端末を持つ利用者に伝えることもできる。さらに詳細な情報を利用者から求められた場合はサービスプロバイダを通して伝達する。

 これまでの社会資本整備は電車や高速道路も欧米などの海外諸国の例をもとに開発・整備を行なってきた。プロジェクトでは、こうした日本がもつICタグなどの先端技術力をオープンな環境で活用し、世界に発信することを狙う。実験を行なう神戸は、阪神淡路大震災の経験をこれからの日本の社会に活かすほか、同市が震災後10年の節目を迎えて「災害に強い安心なまちづくり」を目指していること、陸・海・空の交通が交わる国際観光都市であることなどを理由に選ばれた。




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