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産経新聞 2005年2月1日より転載

     
 
神戸は燃えてまっせ
 
 
 
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 昨年は新潟や兵庫で大震災や台風による被害が相次ぎ、暮れにはスマトラ沖地震による未曾有の大津波が多くの人命を奪い、その混迷から世界はまだ立ち上がることができずにいます。

 10年前の阪神淡路大震災で自宅を焼失した私にとっても、災害は決して人ごとではなく、自然界の巨大な力の前で人間はなんと非力なのだろうと改めて感じずにはいられません。そしてだからこそ、そんな人間が自分たち自身の存在を良いものにするため、さまざまな努力を重ね、叡智(えいち)を集めながらこの地球上で生きている、というのはなんと尊いことなのだろうと思わずにいられません。

 阪神淡路大震災10年目の兵庫・神戸では、この10年の経験をもとに、人と人とのつながりを温かくも強固なものにするためのいろいろな取り組みが官民連携のもとに行われていますが、8月にはプロップ・ステーション恒例の「チャレンジド・ジャパン・フォーラム(CJF)国際会議」の第10回も神戸で開催されます。

 日本で初めて「ユニバーサル社会担当課」を創設した兵庫県と、市民が中心になって神戸市の「ユニバーサル宣言」を生み出した「UD(ユニバーサルデザイン)広場」の熱い面々が力を合わせて、震災から得た貴重な体験をこのフォーラムに結実させたいと願っています。国土交通省の自律的移動支援プロジェクト実証実験の成果も、CJFで発表されますので、一人でも多くの皆さんが神戸に参集くださることを願っています。

 CJFの何よりの特徴は、スタッフとして多くのチャレンジド(障害をもつ人)が企画段階から参画し、彼ら自身が「ユニバーサルって、これや!」と発信する側に回ることです。

 政治家も官僚も、地方公務員も企業人も研究者も何の肩書もない個人も、障害のある人も、ない人も…同じ舞台の上で裸の人間同士として出会おうではありませんか。震災10年目の兵庫・神戸は燃えてまっせ!!

 

写真:ナミねぇ竹中ナミ
(たけなか・なみ=プロップ・ステーション理事長)




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