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SOHOドメイン(旧 月刊SOHO) 2004年7月号より転載 |
プロップ・ステーション便り ナミねえの道 | ||
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第24回――ナミねぇの「サポートがあれば できることは広がる」に共感 |
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NPO法人、音楽イベント…
20代の夢を30代で実現 |
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障害のあるアマチュアミュージシャンたちのオーディションである「第1回ゴールドコンサート」が昨年5月に開催された。コンサートの主催者である貝谷嘉洋さんは、筋ジストロフィー※1の障害を抱えながら制覇した自らのアメリカ留学の経験を生かし、モビリティ※2の必要性やチャレンジドの積極的な自立を訴えている。 PC作業は寝たままで 14歳のときから車椅子を利用している貝谷さんは、1993年に関西学院大学商学部を卒業後、単身渡米。現地の介助人を雇用して自立生活を始め、99年にはカリフォルニア大学バークレー校で公共政策の修士号を取得した。その後もハワイ州で障害者ダイビング協会のダイバー修了証を取得したり、ジョイスティック車※3でアメリカ大陸を横断するなど次々と夢を実現。2001年には「NPO法人日本バリアフリー協会」を設立し、現在は介護派遣事業、執筆、講演活動などを手がけている。 ● ――ITの活用について。 武者●カナダの現代音楽作曲家R.マリー・シェーファーにより、1960年代末に提唱された比較的新しい分野の学問です。たとえば駅周辺の雑踏やBGM、店の呼び込みの声など混沌とした音を、安全かつ効果があるように整理整頓する「音環境デザイン」と言えるでしょう。現地に足を運んで音を分析調査し、PC上で標準MIDI※とWebファイルなどを組み合わせて効果的な音を出し、提案しています。単に、「視覚障害者に認知させるための音なら何でもいい」というわけではなく、一般の人にとって騒音や雑音にならないような誘導音の創作が求められています。 ――音声ソフトについて。 貝谷●10歳で筋ジストロフィーを発症していることがわかり、両親が将来のためにコンピュータを与えてくれたのが小学6年生のときでした。普通の道具と同じように使っていくうちに自然と覚え、今でも仕事の能率を上げるために利用しています。寝室にデスクと共有画面のモニターをつなぎ、コードレスマウスやオンスクリーンキーボードを使うことで寝たまま作業ができるよう工夫を重ねました(写真右上)。腰に負担がかからない分、長時間仕事ができます。また、テレビとエアコンについては音声認識装置を利用しています。
チャレンジドが政策実現を
――アメリカ留学のこと。 貝谷●アメリカは目に見えて車椅子の利用者が多く、チャレンジドらが自立して生き生きと生活しているのを知ったことが留学するきっかけでした。アメリカ大陸を横断したのも究極の自由への流れから。道路はフリーウェイで料金は無料、道は真っ直ぐで運転しやすいことに加えてトイレや駐車場、レストランや宿泊施設もチャレンジドのためのインフラが整備されていて何の心配もありませんでした。 ――福祉行政の日米比較について。 貝谷●日本ではあくまでも障害者は保護の対象ですが、アメリカではチャレンジドの障害の部分を支援し、その人がいかに自立して納税者になるかという考え方が一般的です。まさにナミねぇの運動がすでに基盤にあるということですね。原点は人権や自立ですが、側面からの政策評価が十分になされているのも大きな違いでしょう。
――今後のビジョンについて。 貝谷●日本バリアフリー協会は、チャレンジド本人がプロジェクトの企画運営をし、経済的にも自立自助が可能な事業を立ち上げることを自動的に設立しました。「ゴールドコンサート」もチャレンジドが主役のイベントとして、来春に第2回目を開催予定です。20代は夢を持って生きてきましたが、30代の今は一つ一つを現実にするために、具体的に何をすべきかに一生懸命ですね。ナミねぇはとてもやさしい方ですが、障害があってもサポートがあればできるのだから頑張りなさいという考え方に共感しました。合理的な考え方は厳しくもありますが、私自身も伝えていきたいメッセージです。 ● 1990年に「アメリカ障害者法」(ADA法=Americans With Disabilities Act)が制定され、障害者の社会参加に対するあらゆる差別を禁止した法律として注目された。 [プロフィール] ※1 筋ジストロフィー 筋肉の細胞が変質して弱くなり、その機能を失う病気。
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構成/木戸隆文 撮影/有本真紀・田中康弘 |
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●月刊サイビズ ソーホー・コンピューティングの公式サイト http://www.soho-web.jp/ ●出版社 株式会社サイビズ |
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