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神戸新聞 2004年4月30日より転載

 

 
 

だれもが移動しやすい神戸に

 
 
街角からバリアフリー情報
携帯にお手軽提供
 
 

国交省が05年度に実験

 
 

 

 ITを活用して障害者や高齢者、外国人からが移動しやすい街をつくる国交省プロジェクトの社会実験が2005年度、神戸市で行われる。携帯電話などで「いつでも、どこでも、だれでも」バリアフリーなどの情報にアクセスできるネットワーク構築を目指す事業。国際都市で震災から節目の10年を迎えることから、モデル地域として神戸が選ばれた。5月下旬には実験に向けたプロジェクトチームが始動する。

(網 麻子)

 「自律的移動支援プロジェクト」で、すでに推進委員会(委員長=坂村健東京大大学院教授)も発足。通信、携帯電話製造、鉄道などの企業がサポーターとして参加している。

 具体的には、駅や店、工場現場などさまざまな場所にIC(集積回路)タグなど情報を受信・発信する機器を設置。利用者は携帯電話などで多言語に対応した音声や画像、文字情報を入手する。視覚障害者なら音声、外国人なら英語やハングルといった具合に、利用者に応じた形で受け取ることができる。

 提供する内容は▽車いすで利用できる施設の紹介▽電車の不通など緊急情報▽店や観光地のバリアフリー情報▽出発地から目的地までの移動手段・経路の事前情報−などを検討。情報入手の手段は、携帯電話やパソコンなど幅広く考え、プライバシー確保をはじめとした課題も詰める。

 神戸プロジェクトチームは、近畿地方整備局、兵庫県、神戸市、神戸商工会議所などで構成。社会実験は、市街地や商店街で障害者らが情報をうまく入手して移動できるかを試す。秋にも街にICタグなどを設置し、プレ実験を始める。

 社会福祉法人理事長で同チームの竹中ナミさんは「すべての人が発揮し支え合う社会づくりにつながる。震災の教訓を生かすためにも、ぜひ神戸での実験を成功させたい」と話している。