[up] [next] [previous]
  

KIZUNA 2003年9月号より転載

     
 
チャレンジドが誇りを持てる社会へ
 
 
「プロップ・ステーション」
理事長 竹中 ナミさん
 
 

 

 自分の能力が発揮できる喜びと、社会を築く自覚と誇り。働くことは大変だが、得るものが多い。社会福祉法人「プロップ・ステーション」(神戸市東灘区)は、日本で初めてコンピュータを使ったチャレンジド(障害を持つ人を意味する米語)の就労支援を始めた。理事長の竹中ナミさんに、取組を支える思いを聞いた。


プロップの仲間の写真

 

発想を変えよう!


 今まで多くの障害者は、自立したくても保護という名目で社会参加できなかった。だからプロップ設立の目標は「障害者を納税者に」。これは福祉の世界ではなかった発想。私たちは多様な業種のプロと手を組んで、セミナーで技術を身につけたチャレンジドの働く場を開拓している。

 

対等な立場で


 障害が重くても、半年以上勉強すれば私を超える。セミナーの人気講師やデザイナーになった人もいる。本来持つ力を自ら発揮できる道具がコンピュータ。私はチャレンジドの就労を企業とコーディネートする「つなぎのメリケン粉」(笑)。「教えてあげる」という姿勢じゃなくて、対等な立場で互いを認め合うから高め合える。

 

声をあげる責任


 重症心身障害の娘が生まれたとき、どうやって育てようかと困った。医者も本も教えてくれない。走り回り、「人間は次の行動に移るためにどれだけ情報が必要か」と痛感した。コンピュータはそれを得るための道具。社会的弱者にとってこそ価値がある。私たちはすべてのチャレンジドにパソコンを普及しようというのではない。「IT技術を得て仕事がしたい」という声に応える一つの選択肢に過ぎない。必要があるから応援する。国民は「自分はこんなことがしたい。そのためにこんな情報がほしい」と外に発信する責任がある。

 

振り返って


 プロップはバブル崩壊の頃に活動を始めた。よく「失われた10年」というが、私たちには失うものはなかった。持たざる者が、就労で誇りを持って生きられるようになった「充実した10年」だった。

 

問い合わせ
神戸ネットワークセンター
TEL 078−845−2263
FAX 078−845−2918
URL http://www.prop.or.jp
e-mail prop@prop.or.jp