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神戸新聞 2003年8月18日より転載

     
  障害者の在宅就労支援  
 
ネットを通じ仕事を提供
 
 
厚生省方針 数十カ所に運営拠点
 
 

 

 厚生労働省は17日、IT(情報技術)を活用し障害者に住宅就労の機会を与える、「バーチャル工房」を、2004年度に全国数十カ所で展開する方針を固めた。インターネットを通じて自宅のパソコンでも作業が可能な仕事を提供し、作業所に通えない重度障害者らに就労の道を開くのが目的。障害者の在宅就労支援活動をしている団体との連携で、仕事を確保する体制の整備も検討している。



 障害者に働く機会を提供する場としては、授産施設や作業所などがある。ここでは、障害者が適切な援助を受けながら、企業の下請けなどの軽作業を行う。しかし、外出できないような重度障害者の場合、これらの施設にも通うことができず、就労機会が閉ざされているのが現状だ。

 「バーチャル工房」は、運営主体として社会福祉法人などを想定し、04年度中に全国数十カ所に設立したい考え。企業から受注したコンピューターのプログラミングやグラフィック関係の作業など、自宅のパソコンを使ってd着る仕事をネットを通じて提供する。仕事に必要な技術のトレーニングや、パソコン貸与なども行う。

 同省は、ネットで提供する仕事を確保するため、障害者の在宅就労を支援する活動を行っている団体との連携も計画。こうした団体は企業とのつながりが深いため、ノウハウを提供してもらうことも期待している。

 障害者の在宅就労支援では、神戸市東灘区の社会福祉法人「プロップ・ステーション」(竹中ナミ理事長)がすでに、障害尾者を対象にしたコンピュータープログラミングなどの講座を開き、企業や自治体などから仕事を受注。先駆的な取り組みで、政府や官庁との連携を進めている。