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神戸新聞 2003年5月21日より転載  (第2回)

     
 

随想

 
 
社会を支える側に
 
 
―――――竹中 ナミ
 
 

 


 ITを駆使して、介護・介助が必要なチャレンジドが在宅で働くためには、「仕事のあるところに人は行く」のやなく、「人が居るところに仕事が来る」という仕組みが必要です。

 でもチャレンジドが働くことを支援する法律は、日本では「障害者の法定雇用率制度」しかありません。障害がある人を社員数の1.8%正規雇用することを義務付ける法律で、満たない場合は罰金(正式名称は納付金)を国に納めます。昭和34年にできたこの制度で障害者雇用が少しずつ進んできたのは事実やけど、通勤が困難だったり短時間しか働けなかったりする人を就業に結びつけることはほとんど不可能やったんです。

 日本は、そんなチャレンジドを「保護の対象」とみなして、年金や補助金で扶助しようとしてきました。でも働く意欲があるのに働けない、社会が自分を求めていないと感じる日々が続くのは、とても辛いことです。「チャレンジドを納税者にできる日本」というキャッチフレーズのもとプロップに集った人たちは、「仕事が来る仕組みを作る」ためにナミねぇと一緒に行動を起こしました。世の中に無い制度でも必要なら自らで生み出したる! と。

 技術習得のセミナーをパソコンメーカーや多くの技術者が支援。仕事を発注してくれる企業や自治体も徐々に増えて、全国各地で「チャレンジド在宅ワーカー」が誕生しました。

 さぁ次は、これをきちんとした制度にする番や! 「罰金やなく仕事を発注する制度」を作ろう! チャレンジドだけやなく、外出が難しい人や短時間しか働けない人も身の丈に合った形で社会を支える側に回れるように。今、政府とさまざまな話し合いを続けてるプロップの今後を、皆さんぜひ応援してね!

(たけなか・なみ=社会福祉法人プロップ・ステーション理事長)