朝日新聞 2003年5月13日より転載

     
 

通販会社のプロ助言、販売  県・神戸市もPRに協力

 
 
 
 
障害者の手作り製品 めざせ売れ筋
 
 
 
 
19日、44施設110品を展示
 
 

 

 障害者の就労への支援活動に取り組んでいる社会福祉法人「プロップ・ステーション」(神戸市東灘区向洋町中6丁目)と、通販会社「フェリシモ」(同市中央区浪花町)が連携し、今夏から県内の障害者が作った製品を全国販売する。同社の商品企画担当者がデザインなどについて助言し、「売れる商品」づくりに取り組む。県と神戸市もPRなどに協力し、「産官民」が一体となっての初の試みだ。19日に同社で、この企画への参加を希望した県内の44施設の計110製品の展示会がある。

 

企画に参加する施設の製品の一部
=神戸市中央区浪花町のフェリシモで

 


通販会社のプロ助言、販売

 プロップ・ステーションは障害者が自立し、納税もできるようにと、IT講習を開くなどして就労を支援している。

 理事長の竹中ナミさん(54)は重い心身障害のある長女麻紀さん(30)との生活を通じ、福祉就労の現場を歩いてきた。作業所の製品の売れ行きは、買う側の善意だけでは限度があり、障害者の収入より、施設利用費として支払う額の方が大きい作業所もあった。そうした施設について、竹中さんは「本当の意味での働く場とは言えない」と感じた。

 「顧客を満足させる製品を生みだし、販路を確保すれば売れるはず」。竹中さんはそう考え、数年前から複数の通販会社に協力を打診してきたが、いい返事はなかった。だが、昨年5月、フェリシモの矢崎和彦社長(47)に相談したところ、「我々も同じことを考えていた。ぜひ一緒にやりましょう」と快諾。

 


県・神戸市もPRに協力

 県や神戸市も協力することになり、今年1月、県や同市が所管する約400の作業所や授産施設に事業への参加を呼びかけたところ、44施設から計110製品の応募があった。

 これらの応募作について、同社商品開発本部の「企画のプロ」がサイズや色、デザインなどを助言し、製品の魅力を高める。そのうえで6月下旬ごろに発行するカタログから、食品と雑貨の2コースに分けて順次掲載する計画だ。同社は「社会的な意義も大きい事業。いい商品作りに取り組めば経済的に十分成り立つはず」としている。

 19日の展示会は福祉施設や報道の関係者が対象。井戸敏三知事や矢田立郎市長、矢崎社長、竹中理事長が顔をそろえてPRする。
商品と展示会の問い合わせはフェリシモ(078・325・5705)へ。