産経新聞 2002年8月23日 より転載

“笑い絶やさぬ福祉” 障害者の社会参加挑戦を活写

吉本興業が写真集出版 法人の理念に賛同

「笑いの殿堂」吉本興業が来月、障害を持ちながら社会参加に挑戦する人たちを活写した写真集「チャレンジド」を出版する。障害者と向き合う社会福祉法人「プロップ・ステーション」の笑いとユーモアの理念に賛同し、吉本としては異色の出版が実現した。


写真集を手にする牧田清さん、竹中ナミさん、吉本興業の木村政雄常務(左から)。


写真集「チャレンジド」から。

「プロップ・ステーション」は、重度心身障害者の長女をもつ理事長、竹中ナミさん(53)が平成3年に発足。パソコンなどIT技術を活用し、障害を持つ人々の社会参加を支援してきた。

“笑いを絶やさない福祉”が理念で、「チャレンジド」には、神様から挑戦するチャンスを与えられた人々という前向きで明るい意味が込められている。

写真集の出版は、プロップ・ステーションを通じて自立する障害者たちの姿を1年がかりで撮影してきた写真家、牧田清さん(50)が、吉本側に打診したのがきっかけ。作品を見た木村政雄常務が「“チャレンジド”の精神は、笑いで人々に元気を提供する吉本の使命とも共通する」と賛同し、「写真集という形で福祉活動に参加できる」と即決した。

写真集には、難病と闘いながら絵本作家デビューを果たした女性や、竹中さんとの「漫才講演」もこなす男性グラフィック・アーティストの写真など約70点を収録。竹中さんと木村常務の対談も収められている。

竹中さんは「どんな障害があっても、自分の能力が発揮できるのだということが伝われば」と話している。

発売日は9月1日。2000円(税込み)。問い合わせは吉本音楽出版(TEL06−6643−2185)。また、写真集に収めた作品を展示する「牧田清展」が9月3日から、大阪市中央区の料理店「若松」(TEL06−6271−3204)で開かれる。

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