神戸新聞 1998年8月9日より転載

情報産業への障害者就労を

神戸で国際フォーラム

仕事を通じて社会参加を目指す障害者「チャレンジド」の支援を目指す「チャレンジド・ジャパン・フォーラム国際会議」(実行委員長=北村新三・神大工学部教授)が8日、2日間の日程で神戸市中央区のホテルで始まった。パソコンなど情報分野での雇用機会の創出を目的とし、海外の報告も受けながら産官学民が協力して課題を探る。

「チャレンジド」は「神に挑戦することを与えられた人々」の意味で、米国では働く障害者を指す。同フォーラムは、コンピューターネットワーク時代を、移動が困難だったり、筆記具の使用が困難な障害者のビジネスチャンス拡大につなげようと始まり、今回が4回目。

学識経験者、民間企業、行政関係者ら約350人が参加し、初日は海外の障害者支援企業などが報告。3万人の従業員のうち、約9割が障害者のスウェーデンの企業「サムハル」のゲハルド・ラーソン社長は「障害者も就労で生活費を稼ぎ、納税することで社会の一員との意識が生まれる。雇用形態は健常者と同じで、能力を高め、転職していく人も多い」と話した。

また、宝くじを財源に、約5万人の全盲、視覚障害者の生活を多角的に援助し、発展途上国にも支援を広げているスペインの福祉団体「オンセ」の活動も紹介された。情報分野で職場提供に取り組む「プロップ・ステーション」の竹中ナミ代表は「決して救済運動ではなく、短時間でも社会を支えるために働くのが望ましい」と述べた。

2日目は、自分と同じ視覚障害者向けに、パソコン画像の音声化システムの開発に従事する男性らがパネリストとして参加する。また、兵庫県の貝原俊民知事ら行政トップがコンピューターネットワークを活用した地域コミュニティーのあり方について話し合う。

情報産業への障害者の進出を探る国際フォーラム=神戸市、ポーピアホテル

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