産経新聞 1998年7月4日より転載

視覚障害者に音声案内

赤外線発信器使い

ダイエーは8月1日から9日間まで、神戸市中央区の会員制ディスカウント店「Kou,S(コウズ)ポートアイランド店」で、赤外線発信器を使った視覚障害者向け音声歩行案内システムの実験を行う。現在、横浜市の公共施設で実験が進められているが、民間施設での実験は今回が初めて。同社では、実験の結果を見ながら導入を検討することにしている。

導入へ民間初の実験
来月1日から ダイエー神戸のKou'S

実験に使われるのは横浜市などが開発した「トーキングサイン」と呼ばれる赤外線通信システム。
建物やトイレの入り口などに赤外線発信器を設置。視覚障害者が持つ小型受信機が赤外線を関知すると、「ここはトイレです」「ここは出口です」などとイヤホンで案内してくれる。視覚障害者の社会進出に大きく貢献するシステムだけに早期の実用化が期待されている。

米国では、既に実用化が進み、サンフランシスコの公共施設で利用されているが、日本では昨年末に横浜市障害者向けスポーツ施設で実用化に向けた実験が始まったばかり。民間施設の実験は、世界的に珍しい取り組みになる。

障害者の就労促進などを討議する「チャレンジド・ジャパン・フォーラム国際会議」が8月8,9日の両日、ポートアイランドで開催されることから、これにあわせて実験を行う。

実験期間中は店内11カ所に発信器を設置。体験モニターを公募し、モニターを体験してもらい、使い勝手をアンケートする。

バリアフリー住宅が注目されるなど、お年寄りや障害者が利用しやすい施設づくりは、流通業界にとっても将来の課題。同社では「まだ実験段階のシステムなので、視覚障害者に有効かどうか未確認の部分も少なくない。実験結果をみながら実用化に取り組みたい」と話している。

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