産経新聞 1998年1月15日より転載

夢は在宅CGデザイナー

障害者で作る「バーチャル工房」初仕事

OBP「シニア・フェスタ」で作品展示 自立目指し7人力合わせ

チャレンジド(障害のある人を指す英語)がコンピューターを使って、在宅で仕事をできるようにしよう−。そんな運動を進めている市民組織「プロップ・ステーション」(事務局・大阪市北区、竹中ナミ代表)のコンピューター・グラフィックセミナーの卒業生が描いたイラストが、大阪市中央区城見の大阪ビジネスパーク(OBP)で始まった「げんきエネルギー21 シニア・フェスタ」(主催・関西電力)で14日、展示された。自立へ向けての"初仕事"の展示。竹中代表は「コンピューターで絵がかくなどの仕事はチャレンジドが在宅でできる。今後も自立に向け、共にがんばりたい」と話している。

シニアフェスタは、高齢社会の明日を考えようと関西電力が企画し、80の団体、企業が参加。「プロップ・ステーション」のセミナー卒業生らで作る「バーチャル工房」のメンバー7人が高齢社会の明日をテーマに描いた4点のイラストが、作文とともに、OBPツイン211階ギャラリー&プラザに展示された。

同工房は昨年11月に結成。今回のイラストが" 初仕事"で、コンピューター通信でお互いやり取りし合いながら高齢社会について考え、イラストを描いたという。

同工房代表の久保利恵さん(23)は「7人の会員みんなが通信でアイデアを考えて作文を作り、それを元にイラストをかきました」。実際にはない工房で作業するので、バーチャル(仮想)工房というわけだ。久保さんの作品は、「高齢化時代のまちづくり」というイラスト。歩行者専用の広くて平たんな道。道には車いすの充電装置などが描かれている。

また、吉田幾俊さん(40)は「高齢社会における高度情報ネットワーク」と題し、高齢者がパソコンを使って、若者に竹とんぼの作り方など昔の知恵を教えるイラストをかいた。イラスト4点は、いずれも障害者の視点で描いた"やさしいさ"を持った作品だ。

展示は18日までで午前10時から午後7時まで。入場無料。

「げんきエネルギー21 シニア・フェスタ」に高齢社会の明日を考えるイラストを出品した「バーチャル工房」のメンバー

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